参拾弐 ページ32
加州side
「男が着飾るとか、気持ち悪ぃ」
顕現して初めて言われた言葉は、挨拶ではなく、否定だった｡
なんで今更、あんな事を思い出したんだろ｡
まぁ、思い出した理由には心当たりがあるけど｡
『加州、大和守、あの店寄ってもいいか？』
そう言って彼女が指し示したのは爪紅を専門的に取り扱ってる店で｡
「良かったじゃん、清光」
「…うるさい」
バレない程度に見ていたつもりだったし、欲しいなんて一言も言ってなかったのに｡
お見通しってわけか｡
『色々な色があるものだな…』
「同じ系統の色でも種類が多いからね」
『ほう…』
寄ってみたはいいけれど、彼女自身はその数の多さに驚いている｡
俺も爪紅見るのは久しぶりだしなぁ｡
「AさんAさん」
『ん、どうした？大和守』
「あのね………」
『ふむ…』
安定が彼女を呼んで、何かを耳打ちする｡
内容は俺には聞こえないけれど、どうやら俺に関係したものだったらしい｡
『加州、お主が欲しい爪紅、全部選べ』
「………は？」
『大和守から話は聞いた。さぁ、気にせず選べ』
そう言われて俺が取った行動は1つ｡
安定を問い質す｡
まぁ、本人に聞かれるのもあれだからお互い小声だけど｡
「ちょっと安定…！」
「こうでもしないと清光買おうとしないでしょ…！」
「だからって…あの人本当に買ってくれるじゃん…！」
「別にいいじゃんそれで…」
「流石に申し訳ないっていうか…」
「清光がそうなら、こっちも手はあるからね…」
安定は手があると言ったけれど、何故だか嫌な予感しかしない｡
「ねぇ、Aさん」
『なんだ？』
「Aさんはさ、清光が着飾るの、どう思う？」
安定が彼女にそう聞いた時、俺の心臓が嫌な音を立てた｡
もし否定されたら、と思ったら｡
でも、それは俺の杞憂で終わった｡
『そうだなぁ…見てみたいと思うぞ｡
元の顔が綺麗なんだ。着飾った姿も惚れ惚れとするものだろうな』
今まで言われたことのなかったそれに、俺は柄にもなく、泣きそうになった｡
俺の完敗だよ、A｡
あの後、結局俺が気に入った色を全部買った｡
そのお礼を返したくて、彼女に何か願いはないかと聞けば､
『名前を、呼んで欲しい…』
と遠慮気味に言われて、そんな事かと思いつつ､
「A」
と呼べば、Aは嬉しそうに笑った｡
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乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！私、愛され大好物なので嬉しいです！刀剣男士全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月7日 21時) (
レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
詩月(プロフ) - 胡蝶蘭さん» 胡蝶蘭さん、感想とリクエスト有難うございます！お返事が遅くなりすみません…続編移行をした際に書かせて頂きますね！ (2019年9月16日 7時) (レス) id: 47903b2cc4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶蘭 - 最後まで見ました！面白かったです！リクエストで、小烏丸と夢主の夫婦的行動みたいなのが見たいです！小烏丸が皆の父上なら平安組より前から生きてる夢主は母上なのではみたいな？（＞ｍ＜）☆ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ (2019年8月26日 2時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 乱ってもしかして女の子の格好を禁止されてんなら女の子の服を持って土下座してでも「男の娘になってください！」って言うよ← (2019年5月1日 9時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩月 | 作成日時：2019年2月26日 3時
