弐拾肆 ページ24
膝丸side
夜の帳が下りて暫くした、普通ならば寝静まっている時間帯｡
俺は目が冴えて眠れずにいた｡
横に目を向ければAが無防備に寝ている｡
…もう少し危機感というものを持って欲しい。向こう隣に兄者もいることだから尚更｡
俺も兄者も、男なんだがな…｡
まぁ、危機感を持てと言ったところで聞き入れて貰えないのは分かりきったことだが｡
昔が昔だからかAは俺達に対して警戒というものを知らない｡
それはそれで嬉しいことだが、色恋にここまで疎くなるとは…｡
「起きてる？髭丸」
「嗚呼。兄者も起きていたんだな。あと俺は膝丸だ」
「いやぁ、なんだか寝れなくてね」
「兄者もか」
寝れないのはどうやら兄者も同じだった様だ｡
「ねぇ、どう思う？」
「どう、とは」
「Aのこと」
「…会った頃とは、別人のようだとは思う」
「まぁ、会えなかった時間の方が随分長かったからね。その間をAがどう過ごしてきたかは僕達の与り知らぬところだよ」
「それもそうだが…Aから感じる神気の強さはなんだ…」
「うん、僕も同じことを考えてた。昔は感じることがなかったから余計に、ね」
兄者の言う通りだ｡
昔＿＿それこそ千年前の事だが、Aから神気を感じることは一切なかった｡
だからこそ、ずっと引っかかっている｡
長く生きていたからか
人で在りながら人とはかけ離れた存在になっているからか
それとも、お前を
俺は、知っているようで、何も知らない｡
昔、それこそ会って間もない、まだAのことをただの人間だと思っていた頃、聞いた事がある｡
“お前を人たらしめるものは何か” と｡
そう問うた瞬間に、兄者に殴られた｡
後にも先にも、兄者が本気で怒り散らしたのはあの時だけだ｡
「何故お前は彼女の辛さが分からないんだ」と｡
あの時は訳が分からなかったが、今なら分かる｡
俺は取り返しのつかないことを聞いてしまったんだと｡
あの時の事を許してくれ、なんて烏滸がましいことは頼まない｡
だが、どうか、俺の事は、嫌わないで欲しい｡
お前にあんなことを問うておいて何を言うか、と思うかもしれないが｡
お前に嫌われると、俺は俺でいられなくなるだろうから｡
寝ているAの頭を撫でれば、彼女のその口元に笑みが浮かんだ｡
＿＿＿＿＿＿＿_
Twitterの方にエイプリルフールネタ置いたので良ければ
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乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！私、愛され大好物なので嬉しいです！刀剣男士全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月7日 21時) (
レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
詩月(プロフ) - 胡蝶蘭さん» 胡蝶蘭さん、感想とリクエスト有難うございます！お返事が遅くなりすみません…続編移行をした際に書かせて頂きますね！ (2019年9月16日 7時) (レス) id: 47903b2cc4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶蘭 - 最後まで見ました！面白かったです！リクエストで、小烏丸と夢主の夫婦的行動みたいなのが見たいです！小烏丸が皆の父上なら平安組より前から生きてる夢主は母上なのではみたいな？（＞ｍ＜）☆ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ (2019年8月26日 2時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 乱ってもしかして女の子の格好を禁止されてんなら女の子の服を持って土下座してでも「男の娘になってください！」って言うよ← (2019年5月1日 9時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩月 | 作成日時：2019年2月26日 3時
