弐拾 ページ20
燭台切side
「君、政宗公を知ってるの？」
『まぁな。会うことこそ叶いはしなかったが、話自体はよく聞いていた』
思わず口からついて出た僕のその疑問に返された答えは、自分の耳を疑うほどのものだった｡
「いや、政宗公に会えないのは当たり前だけど…
君、まだ20年も生きてないよね」
『…のう、鶴丸。妾はそんなに童に見えるか？』
「見た目は立派にな。まずそもそもの話人間というのはいつかは死ぬ存在だ｡
光坊もそれが前提にあるから君の事が分からんのだろうな」
『ふむ…』
鶴さんが言ったことを反芻すると、益々訳が分からなくなる｡
目の前にいる少女は少女でないならなんだというのか｡
『光忠、妾は「こんな所にいたのか」…鶯丸？』
「嗚呼、俺だ」
『どうしたんだ？』
「一期がAに頼み事があるようでな。代わりに俺が探していたという訳だ」
『そうか…分かった、一期一振の元に行こう』
「ありがとな、A」
『何、これぐらい造作もない。それじゃあ、また後でな』
僕に何かを言いかけ、結局それを言わずして去っていった彼女｡
そんな彼女が僕に何を言いかけたのかを考えるより先に、答えを貰えた｡
「光坊は驚くかもしれんが、ああ見えてAは俺より長く生きている」
「え……？」
「まぁ要は不老というやつだな。平安の生まれだから政宗公も知ってるってとこだ」
「え…彼女、人間だよね…？」
「嗚呼。Aは紛うことなき人間だ」
「なのに不老…？」
「驚くだろう？俺も最初は驚いたさ」
いや、驚くだけじゃ済まないと思うんだけど…｡
もしもそれが本当なら、可笑しいどころの話じゃ済まされない｡
「ま、いきなりそう言われてすぐに信じろって方が無理だろうな｡
ただこれは本当のことだ。他の平安刀に聞いても同じ答えが返ってくると思うぜ」
「…鶴さんは、彼女とは昔馴染みなの？」
「嗚呼。…なぁ光坊、昔伊達家にいた頃に話した、1人の
「鶴さんが随分惚れ込んでいる子の事だよね。覚えてるよ」
「あの話の女子はAの事だ」
「……嗚呼、だからか」
「ん？何がだ？」
「鶴さん、彼女の前ではすごく幸せそうでね｡
それに、彼女を見る鶴さんの瞳、愛おしいものを見るそれだったから」
「…こりゃ驚いた」
参った、といった風に彼は笑った｡
この時の僕は知らなかった｡
千年を超えた神の愛が、どういうものかを｡
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乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！私、愛され大好物なので嬉しいです！刀剣男士全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月7日 21時) (
レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
詩月(プロフ) - 胡蝶蘭さん» 胡蝶蘭さん、感想とリクエスト有難うございます！お返事が遅くなりすみません…続編移行をした際に書かせて頂きますね！ (2019年9月16日 7時) (レス) id: 47903b2cc4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶蘭 - 最後まで見ました！面白かったです！リクエストで、小烏丸と夢主の夫婦的行動みたいなのが見たいです！小烏丸が皆の父上なら平安組より前から生きてる夢主は母上なのではみたいな？（＞ｍ＜）☆ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ (2019年8月26日 2時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 乱ってもしかして女の子の格好を禁止されてんなら女の子の服を持って土下座してでも「男の娘になってください！」って言うよ← (2019年5月1日 9時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩月 | 作成日時：2019年2月26日 3時
