忘れられない人（F）

呼び捨て ページ7

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｢太輔、何時くらいに終わる？｣









すっごく綺麗な人。
サラッと藤ヶ谷さんの名前を呼び捨てして、その親密さを伺わした。





藤ヶ谷さんの彼女かな…？
途端に胸がざわざわしているのを私は気づいていなかった。




｢おー、まだ終わらなさそう。新人の子のお世話中。｣




そう言うと、藤ヶ谷さんは私の肩を持って自分の方に抱き寄せた。








｢……！！｣





微動だにできないまま顔が熱くなっていく。
その人も、驚いた目をしたけど、一瞬で元の顔に戻った。









｢そう。わかったよ。がんばってね｣








｢おう、先帰ってて。｣









なんだかご機嫌の藤ヶ谷さんは、ようやく私の肩を離した。









先帰ってて……？









え、同棲してるの？
やっぱり彼女いたんだ。帰っても1人なんて嘘。
まーそうだよね、美男美女ですっごくお似合い。






｢どうした、A手が止まってる。｣









はっと顔をあげると、藤ヶ谷さんの顔がすぐ近くにあった。









｢ひゃっ！！｣







｢何その可愛い反応。いじめたくなっちゃうなー。｣









藤ヶ谷さんの時々みせるいじわるな笑顔に、またキュンとしてしまう。









｢あ、ちなみにさっきの人は俺の同期ね。マンション隣だからよく帰り一緒になるの。｣









気になったでしょ？って私の心全部お見通しみたいな顔して、飲みかけの缶コーヒーを口にした。









その言葉に、ホッとしてる自分がいた。

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