伝わらない気持ち ページ25
・
ガチャ
「あれ、2人ともまだいたんだ。」
何も知らない北山さんが、私と藤ヶ谷さんの顔を交互に見た。
きっと私の泣きじゃくった顔が直ぐにバレてしまう。
そう思って少し俯いてみる。
「相良、ちょっと話聞いて欲しいことあってさ、俺と帰ってくんね?」
「…えっ」
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北山さんはズカズカと詰め寄ると、私の手を強引に引いた。
「……ちょっと、どうしたんですか?」
「まあいいから俺に付き合って。」
そんな気分じゃない。
私はもういっぱいいっぱいなのに。
結局、しっかり話も出来ずに会社を後にしてしまった。
藤ヶ谷さんは、私に何を言おうとしたんだろう。
そのことばかり考えてしまう。
抱きしめられた感覚がまだずっと残っていて、私の胸を締め付けていた。
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「……お前、藤ヶ谷の匂いプンプンするんだけど。」
隣を歩く北山さんが、私の首元に顔を近づける。
「さっきまで一緒にいたからですかね?笑」
必死でごまかしてみても、自分の顔がひきつってることくらいはわかる。
「ふーん。」
北山さんは興味なさそうな返事をして、また歩き出した。
その横顔を見て、ホッと胸を撫で下ろす。
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私たちは通りがかった公園のベンチに座った。
もうすっかり日は落ちて、周りはだいぶ暗くなっていた。
「北山さん、今日は大変でしたね。」
私はできるだけ平然を装って会話を作っていた。
でも、北山さんは前を向いたまま適当な返事をする。
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すると急に北山さんの指が頬に触れた。
「ねえ、誰がこんなに相良のこと泣かしたの?」
そう言って、私の目をじっと見つめてくる。
公園の照明に照らされた北山さんの目が、見たことないくらい男らしくて、少しドキドキしてしまった。
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「……藤ヶ谷だろ?」
その言葉に、思わず俯く。
藤ヶ谷さんの甘くて、切ない声が蘇ってきてしまう。
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「…藤ヶ谷さんは何を考えてるんですかね。」
そう言ったら、また涙が溢れそうになってしまった。
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「知らねーよ。
俺だったらこんな泣かせたりしないのに。」
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北山さんはそう言うと、私の涙を優しく拭った。
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ぱん(プロフ) - 桃色さんさん» 藤ヶ谷くんとそんなことになったら眠れませんよね笑(*゚∀゚*)続きもよろしくお願いします!! (2020年1月27日 7時) (レス) id: a126447306 (このIDを非表示/違反報告)
桃色さん - 結婚したら毎日こうなるのかな?と思ったら自然と笑みがこぼれたりしますよね。あんな事やこんな事とか。また幸せが続くといいですね。続き待ってます。 (2020年1月27日 0時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - 桃色さんさん» コメントありがとうごさいます…!ぜひこれからの展開も楽しみに読んでいただけれたらと思います(*´∀`) (2020年1月20日 16時) (レス) id: a126447306 (このIDを非表示/違反報告)
桃色さん - いい話しですね。忘れられない、けど何か思い出してしまう。そんな切ない感じの、私も気持ち分かりますし、好きですよ。続き待ってます。 (2020年1月20日 0時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nanami | 作成日時:2020年1月12日 23時