距離 ページ16
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私は耐えられなくなって、視線を逸らす。
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でも藤ヶ谷さんは何も言わなかった。
私がキスをしたことも、気持ちに気づいてしまったことも。
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「……体調…どう?」
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「…も、もう、大丈夫です。熱も下がってます。」
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「…そっかぁ、よかった。」
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藤ヶ谷さんは、私の目を見たまま少し笑った。
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あまりに優しい声に、勘違いしてしまいそう。
そんな風に微笑むのはやめてほしい。
もう私の目には、藤ヶ谷さんが「先輩」以上に「男」として映ってるの、気づいてるでしょ?
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そんなことは聞けるはずもなく、さっきのキスはまるで何も無かった出来事のように消えていった。
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でも、その出来事があってから藤ヶ谷さんとの間に距離を感じるようになった。
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会社では、私を呼び捨てで呼ぶこともなくなったし、私の頭を決まってポンポンとしてくれることもなくなった。
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「先輩」「後輩」ただ、これだけの関係だと言われているような気がした。
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初めから、好きになっちゃダメだったんだ。
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そんなことはわかってた。
でも、好きな気持ちが苦しくてたまらなかった。
時々見せるその優しさにどこか期待してしまっていたのかな。
そんな感情に、負けるように行動してしまった自分がどうしても憎かった。
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気づけば、藤ヶ谷さんとの距離感は縮まらないまま、1ヶ月、2ヶ月と時は過ぎていった。
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「相良、これやっといてくれる?」
「はい。」
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私に向ける笑顔や、優しい目は、前と何も変わらないまま。
それだけが私の救いで、これ以上のことを望んではいけないと自分に言い聞かせ続けた。
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でもやっぱり気持ちに蓋をすればするほど、苦しくて辛くて胸が張り裂けそう。
すぐ隣のデスクが、あんなに嬉しかったはずの距離が、今ではただただ苦しかった。
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もう忘れたい。
こんな気持ち。
私の気持ちに気づいて態度を変えるなら、初めから冷たくしてほしかった。
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私の事を好きになることはないって、突き放して欲しかった。
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ぱん(プロフ) - 桃色さんさん» 藤ヶ谷くんとそんなことになったら眠れませんよね笑(*゚∀゚*)続きもよろしくお願いします!! (2020年1月27日 7時) (レス) id: a126447306 (このIDを非表示/違反報告)
桃色さん - 結婚したら毎日こうなるのかな?と思ったら自然と笑みがこぼれたりしますよね。あんな事やこんな事とか。また幸せが続くといいですね。続き待ってます。 (2020年1月27日 0時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - 桃色さんさん» コメントありがとうごさいます…!ぜひこれからの展開も楽しみに読んでいただけれたらと思います(*´∀`) (2020年1月20日 16時) (レス) id: a126447306 (このIDを非表示/違反報告)
桃色さん - いい話しですね。忘れられない、けど何か思い出してしまう。そんな切ない感じの、私も気持ち分かりますし、好きですよ。続き待ってます。 (2020年1月20日 0時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nanami | 作成日時:2020年1月12日 23時