夢 ページ32
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ひと呼吸おいて、藤ヶ谷さんは話し始めた。
「長くなるけど、聞いてくれる?」
「……はい。」
正直怖かった。
でも、しっかり聞かなきゃいけない。
私は1度、目をぎゅっと瞑って身構えた。
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「俺、来年から日本を離れるんだ。」
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「……え」
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思わず声が漏れる。
突然すぎて、私は固まってしまった。
「これは、Aが入社してくる前から決まってたことで、もう準備もだいたい終わってる。」
藤ヶ谷さんは伏し目がちに俯いて話を続ける。
「俺、ずっと夢だったんだ。
海外のプロジェクトメンバーに選ばれるのを目指して何年も頑張ってきた。」
「……。」
純粋に、すごいと思った。
4年に1度、プロジェクトメンバーの編成があるけれど、なかなか選ばれることは出来ないと有名なものだ。
驚いたけど、藤ヶ谷さんなら納得出来る。
「……だから、決まった時すっごい嬉しかった。
あの北山と手を取り合うくらいはしゃいだんだよ笑」
藤ヶ谷さんは私の方を見て少し微笑む。
その場面を思い浮かべると、胸が熱くなった。
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ようやく状況を飲み込んだ私は、気持ちを整理する。
「…すごいです。私、応援してますずっと。」
「……でも。」
しかし、その言葉を遮るように藤ヶ谷さんは話し始めた。
私と向かい合うように立ち上がり、じっと目を見つめられる。
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「……今は行きたくない。」
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「……え?」
・
藤ヶ谷さんは真剣な表情を私に向けた。
「Aのそばにいたい。
……俺、毎日Aのことばっかり考えてる。」
「……!」
「初日からぶつかってくるし、すぐミスるし、最初はほっとけない後輩って思ってたけど」
藤ヶ谷さんがあんまり柔らかい表情で笑うから、泣いてしまいそうになる。
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「気づいたら、それ以上の存在になってた。
ああ、好きになってんな俺、ってだいぶ前から気づいてたんだ。」
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「…だけど。」
藤ヶ谷さんはまたあの寂しげな目で私を見つめた。
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ぱん(プロフ) - 桃色さんさん» 藤ヶ谷くんとそんなことになったら眠れませんよね笑(*゚∀゚*)続きもよろしくお願いします!! (2020年1月27日 7時) (レス) id: a126447306 (このIDを非表示/違反報告)
桃色さん - 結婚したら毎日こうなるのかな?と思ったら自然と笑みがこぼれたりしますよね。あんな事やこんな事とか。また幸せが続くといいですね。続き待ってます。 (2020年1月27日 0時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - 桃色さんさん» コメントありがとうごさいます…!ぜひこれからの展開も楽しみに読んでいただけれたらと思います(*´∀`) (2020年1月20日 16時) (レス) id: a126447306 (このIDを非表示/違反報告)
桃色さん - いい話しですね。忘れられない、けど何か思い出してしまう。そんな切ない感じの、私も気持ち分かりますし、好きですよ。続き待ってます。 (2020年1月20日 0時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nanami | 作成日時:2020年1月12日 23時