本懐《黒》 (ページ17)

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「もう無理！！学校無理になる！！」

蓮「……いやほんとにな」

気がつくとAとの時間は増えた。

放課後カラオケ行ったり、お互いの家でゲームをしたり

飯を食いに行ったり、休日あったり、夜電話したり

「……諦める？」

蓮「……俺は無理だけど諦められる？」

「無理だね」

蓮「だろ？諦めねえよ………けど」

「ん？」

はじめはなんとなくふざけていた。

漫画をよむ彼女を後ろから抱きしめた。

「びっくりした」

蓮「……嘘つけ」

「なに？寂しいわけ？」

蓮「…………お前は？深澤先生取られて寂しくねえの？」

俺は寂しさに溢れたこいつの眼を知っている。

「……寂しい……かもね、ていうか

消えて、なくなりたいと思ってるくらいだよ

お兄ちゃんが手に入らないなら、私はもう無理」

涙をこぼし、死にそうなくらい細い声だった。

このまま放っておけば彼女が壊れる。

俺も壊れる。

蓮「………」

より一層抱きしめる力をつよくした。

きっとこの時、同じことを考えていた。

忘れもしない

俺がベッドに押し倒せばAは言った。

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「………私を"遥さん"と思ってみれば?」

蓮「………………」

すごく、すごく、苦しくて心臓が破裂しそうなくらいだったんだ。

自分が身代わりになるなんておかしな奴

それに彼女の好きな人にバレれば自分だっていい思いはしない。

そもそも俺たちには恋愛感情なんてないんだ。

好きでもなんでもないし、Aが俺を"蓮"ではなく"お兄ちゃん"とみているなら

俺も彼女も……身代わりなんだ。

「お兄ちゃんはあんたと比にならないけどね」

俺割りとかっこいいのになあ

もちろん遥さんにはこいつも似ても似つかない比にならない。

蓮「………目閉じて、」

それでも

やるなら徹底的にやらないと

緊張で指先が冷たくて感覚が遠い

自分の心臓の音しか聞こえなくてうるさかった

蓮「……お前も…俺を、"お兄ちゃん"と思えばいい」

「………んっ、」

あの時、あの瞬間に

もう後戻りなんて出来なくなっていたんだ。