誘惑の花束 【神谷浩史 】

やっぱりこんなのおかしい ページ23

櫻井)…ただいま。…？Aー？買い物か…？ん…？「友達と遊んで来ます。ご飯は作ってあるので食べてください。」……ありがと。いっぱい遊んでこい。


俺はAが帰る前に、浩史と話をしなきゃな。



A)ごめんね、急にお邪魔して。


友人)大丈夫。Aが苦しんでることは、私が1番知ってるし、理解者だからね。それで、どんな感じ？LINEで聞いた時は、なんかやばい展開みたいだったけど…


A)…隙あれば、近付いてくるよ。毎回、償わなきゃねって言われる。


友人)…それさ、まじで償わなきゃいけないの？


A)多分そうなんだと思う…。


友人)相手の気持ちに気づけないで結婚を決めたことが、そんなに悪いことかな…誰にでもって訳じゃないけど、仕方ないことなんじゃないの？


A)やっぱりそうだよね！？私…神谷さんに無理して合わせなくてもいいよね…？


友人)だってもう婚姻届出したんでしょ？ならあの人、不倫騒動でもうおかしくなるよ？


A)…2枚出したの。元の名前と、今の名前で。


友人)それ脅迫じゃん。旦那さんとは話した？


A)話したよ！！！でも自分は神谷さんと絶縁はしたくない、これからも仲良くしたいって…


友人)じゃあ最初から結婚するなって話だよな。元は男だった私からすれば、イラつく案件。


A)どうしたらいいのかな…


友人)あんたがはっきり言えば、全部終わる。


A)やっぱり好きな人は櫻井さんって？


友人)そうじゃないよ。私は、あなたとはこれからも先輩後輩の関係でいたいって。ちゃんと言わないと。


A)……今日、泊まってもいい？


友人)ん、布団出してくる。


A)ありがとう…いつも、話聞いてくれて。


友人)Aは間違ってないよ。むしろ被害者だから。


A)……うん。









櫻井)………飯食うか。


台本を机に置けば、俺は立ち上がりキッチンに向かう。それと同時に、ドアが開く音がした。


神谷)ただいまー。


櫻井)…おかえり。A、今日は友達と飲むから帰らないってさ。


神谷)逃げたんだろ。


櫻井)そんなこと一言も…


神谷)だったらなんだよ。俺に会うのが嫌だから、今日は友達の家に逃げたんだろ。


櫻井)…酔ってんのか？


神谷)離す気ないからな。無理やりでも話したら、今すぐ偽垢で拡散してやるから。


櫻井)………分かってる。けど、俺の気持ちを聞いて欲しい。

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