誘惑の花束 【神谷浩史 】

どっち派 ページ16

櫻井)A、調子はどうだ？


A)…孝宏さん…。


櫻井)１週間様子みて、良さそうなら退院していいってさ。よかったな。


A)…私、考えました。


櫻井)ん…？何を？


A)私が声優の仕事をしてると、周りに迷惑をかけてしまうんなら…やらない方がいいんじゃないかって、


櫻井)…難しいな…。俺はやめて欲しくない。Aがどうしてもやめたいんなら、止めないけど…


A)もちろん辞めたくないです！！！私にはこの仕事しかないし、孝宏さんだけ仕事するのは…


櫻井)じゃあ続ければいい。浩史と木村くんのことは、ゆっくり考えればいい。そんなこと言ってられないのは、分かってるんだけどさ。


A)ごめんなさい…。


櫻井)…ここでは、芸名でしか呼べないけど…退院したら籍入れに行こうな。籍を入れちゃえば、裁判かけられるし無闇には手は出してこないだろ。


A)そうだよね…。


櫻井)今日はゆっくり休め。鈴さんには話しておいたから。おやすみ。


ちゅっ…


A)ん… ぉやすみ…。////


孝宏さんは、優しかった。どんなに私が抵抗出来なくて傷つけられても、怒らないで話を聞いてくれた。


A)……寝よう。


神谷)随分呑気だねー。


A)っ！！！っ…。


神谷)気付かないふり？相変わらず可愛いなあ…


A)か、帰って……


神谷)聞こえない。


櫻井)帰れって言ったんだよ。


神谷)……はいはい、分かりましたよ。


A)………。


櫻井)なんで来た？


神谷)堕ちそうになる彼女を見守りに来ましたー。


櫻井)二度と来んな！！！お前のせいでまた病状酷くなったらどうすんだよ！！！


神谷)責任は負います。だから離婚してください。


櫻井)嫌に決まってんだろ。俺はAの全部が好きでプロポーズしたんだ。そりゃ鬱病って聞いて最初はびっくりした。けど病気なだけで嫌いになれる訳がない。大変になるのも分かってる。だから俺がAを支える。鬱病ってカミングアウトしただけで離れて行く男達とは、違うんだ。


神谷)同じでーす。愛桜ちゃんでしょ？…自分だけ特別とか考えてんなよ？いつかお前から奪ってやる…


櫻井)……渡さねえ。


A)孝宏さん……。泣


櫻井)帰れ。お前がいる場所はここにはない。


神谷)……世間はどう見るんだろうな。俺と孝宏、どっち派か。


櫻井)そんなこと関係ない！！！俺は愛桜と一緒にいる！！！死ぬまでな！！！


神谷)………ムカつくんだよ。その瞳…

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