君のとなり4

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玉森side







体育館を出て、そのまま今来た道を戻る





…あー、いたいた






こちらに向かって歩く人、その人の手の中にはやっぱり見覚えのあるタオルが握られていた








玉「…あの、」







桜「あー、えっと玉森くん？」








そう、噂の桜子ちゃん







さっき体育館までの道で、立ち止まる彼女の手にはあのタオルが握られていて、Aのに似てるなぁなんて呑気に思ってた






だからAが落とし物したって聞いた時に、まさかなぁなんて思ってたら案の定ハンドタオルでびっくりしたよね









玉「あの、そのタオルどこで買いました？」









桜「…急になに？」








玉「ん、いや、俺の友達もそれ持ってて、俺も欲しいなぁなんて思って」








桜「……随分前に買ったものだからな、」








なんて濁しながら、自分の後ろにそのタオルを隠した







…やっぱりな









玉「それ、返して貰っていいですか？」









桜「…何よ急に」









玉「それミツのママのハンドメイド品なんで、売ってる訳ないんですよ」








桜「……え？」









玉「とりあえず、返してもらえません？」









桜「…なんであいつがこんな物持ってるのよ」







玉「やっぱり知ってたんだ」









桜「…っ」









玉「はい、返して」








桜「…このこと、みっくんには言わないで」








玉「言わない。だから、返して」









桜「絶対だからね！」









俺の手に持ってたハンドタオルを押し付けるとそのまま体育館とは逆方向へ走っていった








…なるほどね








手にあるハンドタオルを見れば、所々糸がほつれている






割と最近もらってなかったっけ？






…たしか、遠征の少し後くらい







なのにもうこんなほつれてんの？







…まあそっか








これ、毎日使ってるもんね








…あーー、もう




　

わかってたけどさ







…大好きじゃん、ミツのこと、









…なら早く、決着つけなきゃだよな









その前に…









玉「A」








「…あった？」








玉「ん、これ」









「よかった…、ありがとう」









嬉しそうにタオルを握りしめる姿にチクリと胸が痛む









玉「ねぇA、土曜日空いてる？」








「空いてるよ？」









玉「デートしよっか」









最後にするから







これだけは許して欲しいな

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