君のとなり4

156 ページ16

北山side




タマたちが帰ってから俺も急いで準備を済ませて、キョロキョロと周りを見渡しながら桜子の姿を探す





あれ、おかしいな



今日は一緒に帰りたいから待ってるって言ってたはずなのに



…そういえば今日は1回も体育館に来てない気もする





そんなこと考えながらも、とりあえず携帯を取り出して桜子の名前を探し出してそのまま耳に当てた






…prrrrr...prrrrr





北「あ、もしもし俺だけど」





桜「…あ、みっくん」





北「終わったけど、もう帰った？」





桜「…えーっと、教室で待ってたの、勉強したかったから！」





北「ん、そっか。
　 じゃあ昇降口で待ち合わせな」





桜「うん、すぐ行く」






そういうとすぐに通話は切れて無機質な音が耳に届いた





それを聞いてから俺も携帯をポケットにしまって昇降口に向かった






歩きながら、なんか桜子の声の感じがいつもと少し違う気がすんなぁなんて考える




んー、なんていうか、元気がない感じ





って、なに俺こんなことに気付けちゃってんだろ




気持ちはなくても、毎日側で過ごしてたらそんな変化にも嫌でも気づけちゃうもので、自分でも笑えてくる





桜子の隣にいることにも慣れてきて、今もこうして“みっくんお待たせ”って靴を履きながら俺に笑いかける桜子にだってうまく笑い返せてる自分がいる






桜「うぅ、寒いね」




北「ん、」





寒がる桜子の手をとって自分のコートのポケットにいれるのだってスマートに出来ちゃうし





桜「…ねぇあのさ」




北「ん？」





桜「…玉森くんから、何か聞いたりした？」





北「…タマから？なにも聞いてねぇけど」





桜「…そっか！」





俺を見上げて安心したように笑う桜子になんか少しだけ違和感を感じた





タマが帰りに俺にいったことに何か関係があるのかも、なんて言葉を続けた






北「タマと何かあったの？」





桜「…えっとね、今日初めてお話ししたんだけど、みっくんの話したからさ」





北「あ、そういうことね」







ただ単に話しただけだったんだ




…なんだ




俺はまた自分に都合のいい解釈ばかりをして、勝手に落ち込んでって…本当に馬鹿みたい

157→←155

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す