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「中谷神社の祭りのことだろ?」







ドンピシャすぎてびっくりして宏光くんを見ると、私の方に手が伸びてきて、変な顔って言葉とともに私のほっぺをむにっと摘んで可愛い顔をのぞかせた。


そして私の顔をみて“んは、照れてる〜”ってバカにしてくるから、残り少なくなった宏光くんのアイスをパクっと食べてあげた。







「てか、そんな行きたいの?」



「はるもるいも行く人いるのに、私には彼氏はもちろん一緒に行く人すらいないんだよ?
悲しいでしょ? 」







私がそう言うと、クルッと体の向きを変えて私の目の前に立ちはだかり、ふふーんとドヤ顔混じりの笑顔をのぞかせた。



「しかたねぇーな」


「え?」









「お祭り、一緒に行く?」









風になびかれた前髪が少し目にかかってて、その姿がなんだかとってもかっこよくて不覚にもドキッとした。








「どうせ宏光くんにはもう行く人いるんでしょ?」





せっかく誘ってくれたのに、照れくさくって可愛げのない言葉しかでてこない。


そんな私の気持ちを知ってか知らぬか、私を煽るように北山くんは前を向いて歩き出した。







「今がチャンスだけど?
まぁ、今逃したらきっと無理だね」







食べ終わったアイスの棒をプラプラと振りながら歩いている宏光くんをまじまじと見つめると“なんだよ”ってぷいっと目をそらされた。









「…一緒に行ってくれる?」









「んふ、しかたないなぁ〜」






“寂しいAちゃんには俺が一緒に行ってあげましょう”って、なんだかんだ嬉しそうにする宏光くんに“私のセリフだよ”って言い返した。









あんなに落ち込んでたのに、びっくりするくらい一瞬で楽しみになってしまった。


目の前に沈み出した夕日と、横を歩く宏光くん。


この時間が幸せって感じるようになってきたこと、

気づき始めた夏の始まり。

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ぽん(プロフ) - りえさん» まだ44話以降を公開していないです…!ごめんなさい(;_;) (2019年2月10日 8時) (レス) id: 9bf54bbd8d (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - 44話以降通知が来ても更新されていないのですが私だけでしょうか(>_<)? (2019年2月10日 7時) (レス) id: 38bd84ff18 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽん | 作成日時:2019年1月8日 0時

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