もう一回、青春。【HQ!!】

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黒尾side



黒尾「なんで言ってくれなかったんだよ！！」


研磨「クロ落ち着いてっ！」









Aが佐藤？って奴にいじめられているという噂が回ってきた。




最初は絶対に嘘だと思ってたのに、本人の口から本当だと聞いてしまった。














俺の手により地面に叩きつけられたAは、暫く下を向いたまま一向に顔を上げようとしない。







黒尾「………何とか言えよ」





それでも口を開けない、そのしらばっくれたような態度に更に怒りが湧く。







研磨「クロ、Aが悪いわけじゃないんだから」


黒尾「研磨は黙ってろ！」






研磨を押そうと腕を上げたのと同時に、Aの声が聞こえた。




















『ごめん』




小さい声だったけど、しっかりそう言った。







『佐藤さん、黒尾くんのこと好きなんだって。黒尾くんの気を惹きたくて、バレーも始めたって言ってた』


黒尾「…それが、お前がいじめられる原因とどう」


『ごめんね、私のせいで』





ふわりと柔らかい笑みを浮かべるAを見て、息が詰まった。
















.


研磨の言う通り、Aは一切悪いことなんかしてない。



全部佐藤とかいう女の私情でこうなったんだ。







それなのに、俺は力任せにAを傷つけてしまった。








最低じゃねぇか。カッコ悪すぎるだろ。



ずっと一緒にいたくせに、Aの気持ちに気づけなくて…




なにが友達だ。なにが親友だ。









いろんなことが頭の中で回り、頬に汗が流れる。
握った拳を緩めることができない。







そんな時だった。




























『私ね、来週ロシアに行くんだ！5年くらいかな。勉強もバレーも、向こうで勉強してくる！』









突然の言葉に理解が遅れた。





ロシア…？って、外国だよな……



そんな遠いところにAが？5年も？








握っていた手が震え出した。













隣を見ると、さっきまで冷静だった研磨が涙を流していた。




それに釣られて、俺の目からも涙が落ちる。








『迷惑ばっかりでごめん』




鼻を啜るAに、胸が熱くなった。







『逃げるような形になるけど、ちゃんと向こうで頑張る！だから2人にも頑張ってほしい』














『3年後、また君らのバレーを“観たい”』


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