検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:1,353 hit

35.熱涙 ページ6

おそ松side




お「責めんなって。」

A「…ッ、でも。
私が居なければ起こらなかったのは紛れもない事実…じゃん。綺麗事なんて要らないよ」

思わずAを強く抱きしめる。
その身体は微かに震えていて、今にもガクッと崩れ落ちそうな程細く、柔らかく脆かった。
Aの瞳には光が宿っていない。

先程の発言はきっと、自分の家庭環境と俺の家庭を比べてしまって出た言葉だと思う

しかしそれは至極当然だ。
俺だったら、もっと酷い言葉を投げかけてしまうかもしれない。



お「確かに綺麗事に聞こえるかもしんないけど…
例えAが家族に愛されていなかったとしても、俺はAの事が好きだから…

上手く言えないけど、卑屈になんなよ。
…俺が居るから」

A「……知ってる」

お「知ってるって…
何を?どういう風に?」

涙が俺のパーカーを赤黒く染めてゆく。
嗚咽を漏らすたびに伝わる振動が、何だか心地悪くて耐えきれずAの体をより一層強く抱きしめた。


A「家族に愛されてない事も…
おそ松だけは私を想ってくれている事も…知ってる。知ってるのに私は…
他の家庭が妬ましくて、何で自分だけ…

って比べちゃうんだ…
…情けなくて、最低だよね。」


最低?

最低だ。Aも俺も……
最低で情けないから、気が合うんじゃんか。


お「…俺も最低だから。
Aだけじゃない、理由は違えど俺も情けなくて最低な人間だから。
…一人じゃない」

A「ッ、う…
ごめん、ごめんなさい…」


言葉では形容し難い感情。
熱く駆け巡るような、感情的になるような…
暖かいけど冷たい。

しばらく俺たちは抱き合ったまま玄関で過ごしていた。



36.嬉々→←34.偏屈



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
設定タグ:おそ松さん , おそ松 , 病み松   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:小鳥遊未來 | 作成日時:2019年9月8日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。