5 ページ6
ラウンジで給仕の真っ最中であるジェイド・リーチは、ある一人の人物を目で追っていた。
オッドアイの双眸が見つめる先には、新入生のA・シュライヴァーの姿がある。
Aも例に漏れず、オクタヴィネル寮生としてラウンジの給仕に駆り出されていた。
ある日の放課後。
客足が落ち着き始めた頃を見計らい、ジェイドはキッチンに赴いた。
そこでは、Aが鮮やかな手さばきでサーモンの塊を切り分けている。
近くにいるジェイドには気づいていないようだった。
(包丁を扱う時のAさんの真剣さには、狂気や執着に近いものが感じられますね…。)
ジェイドはAの横顔を見ながら、そう思った。
最後の1切れを切り終え、皿に盛ろうとした時にようやく、Aがジェイドの方に視線をやった。
｢いたんですか。すみません気づかなくて。｣
｢いえ。お気になさらず。
客足も落ち着いた見たいですし、一休みなさったらどうです？
良かったら紅茶でもいれましょうか。｣
そう言うと、Aはとんでもない、といった顔をした。
｢いえ、先輩に紅茶をいれて頂くわけには…。
僕がいれます。｣
｢ふふ、じゃあご厚意に甘えて。
…それにしても、Aさんの包丁捌きは見事ですね。
本当に手慣れている。｣
ジェイドは、茶葉の入ったポットに熱湯を注いでいるAにそう言った。
Aは恥ずかしそうに微笑しただけだった。
｢魚を捌かれたご経験があるでしょう。
一二回でなく、かなりの数。｣
｢はい。僕の家族は魚好きなんです。｣
Aは適当に答えた。
｢…そうですか。
そう言えば、Aさんは名門魔法士のお家の生まれだそうですね。｣
Aの表情に一瞬、翳りが見えた。
ジェイドはそれを見逃さなかった。
｢大した事ないですよ。｣
Aは蒸らしていたカップに、ポットの紅茶を注ぎ、ジェイドに差し出した。
｢どうぞ。｣
｢ありがとございます。｣
ジェイドはカップに口をつけた。
｢…！
美味しいですね。｣
｢それは良かったです。｣
Aは柔らかく微笑み、自分のカップを手に取った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 803人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ランカスター(プロフ) - レオンさん» コメントありがとうございます！！お気に召していただけたようで何よりでございます♪ ジェイドのみ副寮長、ご指摘の通りですね！見直してみて気づきました…。ガバガバで申し訳ないです 笑 コメント下さり本当にありがとうございます！ (2021年1月4日 10時) (
レス) id: d91d53123f (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - すごく内容好きです....!!!!!ｳｯ...！！オクタの副寮長はジェイドのみだと思います...！ (2021年1月3日 8時) (レス) id: 8a19b2b241 (このIDを非表示/違反報告)
ランカスター(プロフ) - mitoさん» コメントありがとうございます！！ジェイド最推しの方にお褒めいただいて嬉しいです♪書いてて自信が持てますし、とっても励みなります！どうぞ、最後までお付き合い下さいね！ (2021年1月2日 22時) (レス) id: d91d53123f (このIDを非表示/違反報告)
mito(プロフ) - 更新頑張ってください！ (2021年1月2日 21時) (レス) id: ebda06392e (このIDを非表示/違反報告)
mito(プロフ) - ジェイド先輩が最推しなので最高です！大好きです！愛してます！！更新あ (2021年1月2日 21時) (レス) id: ebda06392e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ランカスター | 作成日時：2020年12月16日 15時
