14 ページ15
｢私、本当は嫌だったんです。
男の子の格好をして、男子校に通うなんて。
アクシデントとはいえど、こうして本来の私の姿で接することができて嬉しいんです。
どうもありがとう。｣
Aは真っ白な手を、フロイドと僕に差し出した。
断るわけにもいかず、｢どういたしまして。｣
と言って困惑しながら手を握り返す。
女性らしく、柔らかい掌だった。
｢別に俺何もしてないけど、どういたしまして。｣
笑いながらそう言ってフロイドも、Aの手を握り返した。
…彼女に対する憎しみが、ほんの少しだけ和らいだ気がし
｢決めました。
私、いつの日か絶対お二人を解剖してみせます！｣
…満面の笑みでいう目の前のA。前言撤回だ。
彼女はどうして、こんなに純真無垢な目をしながら、そんな血なまぐさい言葉を吐けるのだろう。
しかも本人達を目の前にして。
やはり彼女は、こちらを単なる解剖対象としか見ていないのだ。
隣のフロイドに目線をやる。
癇癪を起こさないか心配だった。
｢Aっておもしれ〜。
マジで俺らのこと解剖する気なんだ？
いーよ、俺の気分が乗ったらやらせてあげる。｣
そう言って、機嫌良さそうに笑うフロイド。
少し意外だ。
｢本当ですか、ありがとうございます！｣
フロイドの言葉を真に受けて、額を地につける勢いで頭を下げるA。
本当に調子が狂う。
｢そろそろおいとまします。
長い間居座ってしまって、申し訳ありません。｣
ベッドから立ち上がってそう言うと、Aはドアを開けて見送ってくれた。
｢さようなら！
どうもありがとうございました。｣
扉から顔だけを出して、Aがお辞儀をした。
｢じゃあね〜。｣
｢さようなら、Aさん。｣
こちらも挨拶を返して、部屋に向かう。
僕達が廊下を曲がるまで、ずっと彼女の視線を背後に感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 803人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ランカスター(プロフ) - レオンさん» コメントありがとうございます！！お気に召していただけたようで何よりでございます♪ ジェイドのみ副寮長、ご指摘の通りですね！見直してみて気づきました…。ガバガバで申し訳ないです 笑 コメント下さり本当にありがとうございます！ (2021年1月4日 10時) (
レス) id: d91d53123f (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - すごく内容好きです....!!!!!ｳｯ...！！オクタの副寮長はジェイドのみだと思います...！ (2021年1月3日 8時) (レス) id: 8a19b2b241 (このIDを非表示/違反報告)
ランカスター(プロフ) - mitoさん» コメントありがとうございます！！ジェイド最推しの方にお褒めいただいて嬉しいです♪書いてて自信が持てますし、とっても励みなります！どうぞ、最後までお付き合い下さいね！ (2021年1月2日 22時) (レス) id: d91d53123f (このIDを非表示/違反報告)
mito(プロフ) - 更新頑張ってください！ (2021年1月2日 21時) (レス) id: ebda06392e (このIDを非表示/違反報告)
mito(プロフ) - ジェイド先輩が最推しなので最高です！大好きです！愛してます！！更新あ (2021年1月2日 21時) (レス) id: ebda06392e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ランカスター | 作成日時：2020年12月16日 15時
