第六章 そのままの君でいてくれたら ページ1
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「ははさまっ!」
「ははさまー!りょーすけがまほう使った!」
2人の小さな少女達。銀の髪を腰辺りまで伸ばしている少女と、同色の髪を肩で切り揃えた少女。
2人は、同じく銀の髪をした女性に思い切り抱き着いた。それを、女性は優しく受け止める。
「シュウナ、ミルシェ。リョウスケがどうしたの?」
「あのねっ、ははさま!りょーすけがまほうを使ったの!」
「こわれたカップをね、きらーんって!もとにもどしちゃった!」
「あらあら、すごいわねー」
ロングヘアの少女をシュウナと呼び、もう1人をミルシェと呼んだ女性はどうやら2人の母親のようだ。
ふわり微笑む彼女は、どこか清楚さと気品さと儚さを持っていて、とても美しい。
「来てははさま!」
「りょーすけのとこ!」
「ミルとシュウのへやにいるよ!」
少女達は母親の手を引っ張り自分達の部屋へ連れて行く。中へ入れば、恐らく少女達の言っていた"元に戻った"カップだろう。
それを小さな手で持ち、固まったように動かない少年がいた。
「リョウスケ、魔法使えるようになったのね。すごいじゃない」
「……はは、さま」
「あら、突然でびっくりしちゃったかしら」
少年は、母親の姿を目にした途端、大きな瞳から綺麗な涙が溢れ出した。彼をゆっくりと腕で包み込む彼女。人差し指で少年の涙を拭う彼女の顔には、慈愛の笑みが浮かんでいる。
ーーーこれが、始まりだった。
リョウスケと言う少年の、辛く悲しい物語は。
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wanwan747272921(プロフ) - いつもありがとうございます。大好きです。私は山田メインの魔法系みたいです。魔法力が強すぎて体がついていけないみたいな設定あったらグッときます! (2020年2月3日 23時) (レス) id: 96d41df344 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁月 空 | 作成日時:2016年9月10日 16時