episode 01 ページ1
「はじめまして、○○小から転校してきた降魔レイアです」
教卓の隣に立って簡素な自己紹介をする。今日からここが、私の地獄か。疎らな拍手を聞きながらそんなことを思った。
小学一年生の二学期半ばなんて、こんな微妙な時期に転校してきた私。理由は簡単。前の小学校でいじめにあったからだった。
両親にはバレないように気をつけていたのに、私の両親は親バカだけど馬鹿じゃなかった。家ではしっかりしている私が学校では毎日のようにものをなくしていれば気づかない方がおかしいけど。
とにかく私は前の学校で酷い目にあって逃げ出した。
そして多分、ここでも大して変わらないだろう。
だって、全て私の個性が悪いのだから。
私の個性。それは悪魔使い。
悪魔を名乗る謎の青年を召喚し、操ることができる。
強い個性なのだけど如何せん敵っぽいのだ。
個性を使って悪事をはたらく敵はみんなから嫌われる対象でそして個性が敵っぽいというのはいじめの理由には十分だった。
私も10個離れた兄のようにドラゴンが操れたらみんなのヒーローになれたかもしれないなんてくだらないことを考えたりもした。
けど、両親を恨んでも、自分自身の個性を恨んでも何も変わりはしなかった。
ただ、心に虚しさが残るだけ。
だから私は今日も、思考を停止する。
「ねえ、レイアちゃんの個性はどんなの？」
急に話しかけられて意識が浮上する。どうやら担任の先生はもういなくなったみたいで、私の席の周りには人だかりができていた。
答えたくない質問。なんて答えたものか考えあぐねていると気の強そうな女子が口を開いた。
「もしかして、無個性〜？ まさか、それはないよね！」
あははと笑うその女の子の目が早く答えろと訴えかけている。
この子がこのクラスのボスかな、なんて現実逃避をしてみても現実は変わらなかった。
もしかしたら、受け入れてくれるかもしれないという僅かな希望を抱きつつ腹を括る。
「……悪魔使い、だよ」
口から零れた声は随分と掠れていた。
そして私の希望は少女の愛らしい声によって打ち砕かれる。
「はは、なにそれ。敵っぽ〜い」
やっぱり、ここは地獄だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
都古 菫(プロフ) - 豚さんの貯金箱さん» こちらこそありがとうございます！心ちゃん、これからばんばん出てくる予定なのでよろしくお願いします！ (2018年12月14日 17時) (
レス) id: 94fcc69a32 (このIDを非表示/違反報告)
豚さんの貯金箱(プロフ) - 心出してくださってありがとうございます…！読みやすい文章で続きが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2018年12月14日 17時) (レス) id: 405aa68e96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：都古 菫 | 作成日時：2018年12月14日 0時
