53.True identity ページ3
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｢んん....｣
一体どれくらいの間眠っていたのだろう。目を覚ますと、私は医務室ではなく冷たくて硬い地面に座らされていた。
手と足を拘束され、口は布で抑えられている。ブーツの中に入れている杖も抜かれていた。
｢お目覚めかい？哀れなお姫様｣
そこに居たのは、闇の魔術に対する防衛術の先生、クィレルだった。普段のおどおどした様子はどこへやら、堂々とした態度でAを見下ろしていた。
｢....珈琲に何か入れたでしょう｣
布をずらし、クィレルをキッ、と睨む。
｢気付くのが少し遅かったようだね。君がまた倒れるのを待っていては間に合わなかったので細工させてもらったよ｣
前に珈琲を飲んだ時感じた違和感の正体はこれだったか。味や匂いに変わりはなかったから気付かなかった。
｢私が邪魔なんでしょう？なぜ殺さないの？
.....ああ、貴方には人を殺す勇気なんてないわね｣
｢黙れ！......ふん、まあいい。あのお方がお前を連れてこいと仰った.....お前はそこで大人しくしていろ｣
そう言うとクィレルは、魔法で下がっていた布をトワの口許へと戻した。突然、キィィ、と音がしてドアが開いた。入ってきたのは、ハリー・ポッターだった。
｢あなたが！｣
｢私だ｣
待っていた相手が予想外の相手でハリーは困惑しているようだった。どもりのないクィレルにも、驚きを隠せていない。
｢...A？なぜ君がここに！｣
｢彼女に少し用があってね。おっと、近付くなよ。近付けば彼女の命は保証出来ない｣
ハリーがAに近付こうとしたその時、クィレルがすかさずAの前に立った。ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべてそう言うクィレルだが、Aを殺す気が無いのは分かっている。というより、恐らく殺せない。
Aはハリーに目で合図し、ハリーもゆっくりと頷いた。
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true identity_正体。
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作者名：夢豚01 | 作成日時：2021年6月11日 2時
