57.Impetus ページ7
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医務室を出て、前も見ずにがむしゃらに走る。これから私はどうすればいいだろう。もうここにはいられないかもしれない。
｢わっ、ぷ｣
｢君は相変わらずだね｣
前を見ていなかったせいで、また彼にぶつかってしまった。今は彼のからかい言葉も耳に入ってこない。
｢...どうした？｣
私の様子がいつもと違うことに気付いたのか、マルフォイくんは心配そうに私の顔を覗いた。
いっそ、彼に話してしまおうか。
｢聞いてくれる？私の話｣
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｢いや、君の人生壮絶過ぎないかい...｣
｢まあ否定は出来ないわね｣
ホグワーツで一番高いところ。見晴らしも良く、何かしらで行き詰まったときはいつもここに来る。
私の話を聞き終わったマルフォイくんは、げっそりとした表情で私を見た。もうこれ以上は聞きたくないと言わんばかりだ。
｢...まだ私と友達でいたいって思ってる？｣
下を向いて、ボソッと尋ねた。風が吹いて2人の髪がなびく。いつもは見えない右目が、ちらりと見えた。
｢どうかな。君は？｣
｢......？｣
｢僕は、君が僕に友達だって言ってくれたことがとても嬉しかったんだ。君の親友たちは、そんなことで君を見限るような奴らなのかい？｣
マルフォイの瞳がAを捉えることはなかった。どこか果てしない、ずっと遠くを見ていた。
｢やっぱりマルフォイくんに相談して良かったかも｣
｢それはどうも｣
そう言ったAの表情は晴れ晴れとしていて、自分の中で吹っ切れたようだった。
｢決めた！この邪魔な前髪切るわ！｣
｢は！？おい、なにを...！｣
どこからかハサミを取り出し、Aは鏡も見ずに右目に掛かっていた前髪をバッサリと切った。
｢どう！？｣
｢.....心臓に悪い！！｣
真っ青な顔でマルフォイはAの両頬をつねった。ごめん、と両頬を引っ張られた状態でAは謝った。
｢皆にちゃんと話してくるわ｣
｢...ああ｣
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impetus_きっかけ。
続く (更新停止中)
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作者名：夢豚01 | 作成日時：2021年6月11日 2時
