第4話 ページ4
Side. zm
んま。特に意味なんてあるわけないか。
ただの知り合いくらいのもんやろうし。わざわざ真剣に花を選ぶ必要も無い。
あ、自分で言ってて悲しくなってきたぞ。
｢俺がこんなに想ってるなんて、知らないんやろうなぁ、。｣
Aちゃんは可愛い。
それはもう、ぶっちゃけ花なんか霞んでしまうくらいに。そんなこと言ったら花が大好きな彼女は怒ってしまうだろうけど。
でも本当に可愛いのだ。
初めて花屋で彼女を見かけた時を思い出す。
たまたまだったのだ。なんとなくいつもと違う帰り方をしたくなって、あっちの方には公園があるのは知っていたから、たまには寄ってみてもいいかな、なんて、そんな程度だった気がする。
そう。そうだ。
匂いがしたんだ。
人よりも利くこの鼻に、
その匂いに誘われるように、俺は。
彼女に出会った。
｢…っあ。｣
そこまで思い出して、ハッと意識を戻した。
それと同時に俺が何をしなきゃなのかも思い出した。
｢花瓶、買いいかな…。｣
気がつけば外はもう真っ暗だ。
いつまで部屋の真ん中で突っ立ってたのだろうか。
なんだか自分がアホみたいだ。
時刻は午後8時。ショッピングモールなら花瓶くらい売ってるだろうか。
花瓶なんて買いにいったことないからどこで売ってるかすらわからない。
｢とりあえず、行ってみますかねぇ｣
□
□
とりあえずなんとか買えた。
光に当てると少し緑がかってみえる、綺麗なガラスの花瓶。
はやくこの花瓶にあの花を生けたいと思った。
｢はよ家に帰りたいなぁ。｣
ああ、なんだか今日は、
少しだけいい気分だ。
そんなことを思いながら自然と自分の口角が上がっていくのを感じていた。
家に着くと、大先生とシャオロンとシッマがリビングにいた。
ut｢おかえりー、どこいっとっt…
syo｢遅かったなぁー、なにしとっt…
kn｢おうおうおかえりい。風俗でもi…
声を掛けてきた3人を綺麗に無視して俺は自分の部屋へと急いだ。
とにかく早くあの花を生けたかった。
部屋につき、買ってきた花瓶を取り出す。
うん、割れてない。いや、普通に持って帰ってきたから割れてるわけはないのだけれど。
花瓶に水をいれ、Aちゃんに選んで貰った花を挿す。
…うん。とても綺麗だ。
彼女は色んな花を知っているのだろう。
…また彼女に花を選んで貰いたい、。
とりあえず、今日は幸せな気分だ。
きっといい夢が見られるだろう。
…例えば、Aちゃんの夢とか。
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作者名：詩杏 | 作成日時：2017年11月29日 22時
