１１７day ページ25
，
その日私の病室に訪れたのは、少し意外な人物だった。
「A、元気？」
『元気じゃないから入院してる』
「…確かに。今私も思った」
誰か と言えばついこの間会ったばかりだけど。白い病室は窓を開けてあって、彼の長い髪が揺れる。
「日和くん、落ち込んでた」
『あー…まあそうだろうね』
彼は真面目に練習しているだろうか と少し心配。あんずちゃん大丈夫かなめっちゃ心配なんだけど。
「ふふ、心配になってる？」
『うん、やばい、やばいめっちゃ、やばい！！！』
「わ、騒がないで」
彼は私の腕を掴んでベッドに座らせる。細身に見えて意外とがっしりしてるから力は強いんだ。鍛えてるわけじゃないけど発掘…的なやつ。
「日和くんも結構素直だよね」
『同感』
昔からそうだよね と二人で笑いあった。彼は昔の日和も知っているから痛いほどわかるのだろう。
『これから日和と会う？』
「うん、会うよ」
『じゃあ気にしてないって伝えといてよ』
彼は少し驚いた顔で頷く。
「意外だね、許さないと思ってたのに。…ただでさえ２回も、こんなことしたんだから」
『３回目は許さないけどな…あの人は私のこと助けてくれたわけだし、英智のことも許せてるんだから大丈夫！心広すぎ私！』
「あの頃はしょうがなかったよね。若気の至り」
うん と首を縦に振る。彼は昔のことなんか、忘れてしまったと思っていた。フラフラと出歩いて昨日のことでさえ忘れてしまうんだから。
「…茨も、嫌な印象かもしれないけど」
『あ、ユニット組んでる子？』
「そう。…いい子だから、今度ちゃんと話してみて」
『今度お仕事一緒にできるといいね』
「…うん」
“ そんなの、いついなくなるかわからないのに ”
彼が言いたいことはこうだろう。
少し俯いた彼の顔に髪がかかる。
「私の前からいなくならないで」
『どうだろう』
はは、と笑うと彼も哀しそうに笑った。
乱 凪沙に“ 寂しい ”という感情を教えてしまったのは日和なのだから、責任くらいはとるべきだ。
，
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 341人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねむい(プロフ) - 永遠咲さん» ありがとうございます、とても嬉しいです〜〜！これからも何卒よろしくお願い致します！ (2018年1月23日 23時) (
レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
永遠咲(プロフ) - すごくおもしろいです！！更新楽しみにしております！お忙しいと思いますが、これからも頑張って下さい！ (2018年1月23日 19時) (レス) id: 1bcf30aa47 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» ありがとうございます！！今更新少し止まってますがこれからもよろしくお願いします！ (2017年12月10日 20時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン - この作品めっちゃ面白いです！これからも更新頑張ってください！もっかい読み返して来よ〜ε=ヽ(*･ω･)ﾉ (2017年12月10日 19時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - Hikaひかりさん» まいどまいどありがとうございます〜！更新が不定期すぎますが嬉しいですありがとうございます； (2017年11月18日 21時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2017年10月28日 16時
