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うつし世は夢/2 ページ33

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20分後。


「 A、これとこれと、これもあげる!僕の好きな駄菓子だから感謝してね! 」

「 えっ!ありがとうございます! 」

「 うん、それから僕の行きつけの駄菓子屋に連れて行ってあげる! 」

「 乱歩さん一生ついていきます 」

「 い、意気投合しているのである…… 」


わいわいと盛り上がる2人にポオは若干引いていた。自分とて言えた立場ではないのだが、この2人は敵組織同士である。しかも作戦参謀のような存在、云わば組織の脳。


「 乱歩君…… 」

「 ん?ああ、今から行くことにしたからまた新しい推理遊戯考えてきてね! 」

「 ポオくんのそれなかなか面白かったです、新作も期待しております 」


川端が顔を綻ばせると同時に、背後でベルがカランカランと鳴った。来客である。入ってきた男ははあと大きなため息をついてだらんとその背筋を曲げた。


「 はぁあ、やる気でなーい。だいたいこんなに気持の良い日に仕事なんてさ…… 」

「 げっ 」

「 A君? 」

「 ぽ、ポオくん、一瞬だけでいいので席を代わってくれませんか 」


捲し立てるようなその小声に入ってきたその男__太宰治はぴくりと反応する。ソファの後ろの猫っ毛の黒髪を視界に捉えると、その椅子の上に乗り出した。


「 A!私に会いに来てくれたの! 」

「 うわバレた 」

「 太宰、Aは僕に会いに来たんだよ 」


そうだよね、と問うその瞳に素直に川端が頷くと、太宰はつまらなそうに川端の隣に腰を下ろしてちぇーと舌打ちをした。スペースが1人分しかないところに太宰が座ってきたものだから、川端はかなりの狭さに身動ぎをした。


「 乱歩さんに会いに来たんだから太宰はジャマしないで 」

「 あっ解った!心中ならいいよねっ、今日こそ私と心中を 」

「 何が解ったんだよ…… 」


これからの状況を考えて、川端は乱歩に会いに来たのである。これから予想できる様々なこと。探偵社と正面衝突することになっても、ほぼ同じ立場である乱歩と関わっておけば何かと役に立つであろうという考えから。


「 そろそろ行こうA 」

「 はい、乱歩さん!太宰、どいてよ 」

「 A耳貸して 」


やだよ、という川端を強引に肩を組んで引き寄せて、太宰は耳元で囁く。ポオが指の隙間から見ていた。


「 闘っちゃだめだ 」

「 え? 」

「 今回の戦争で、闘うな。 」


なんで、と聞き返す前に太宰が川端の背を押す。そのまま席から弾き出されて、呆気にとられる川端を、乱歩が引っ張った。



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ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます!とても励みになります!これからもどうぞよろしくお願い致します! (2020年1月24日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります!更新頑張ってください! (2020年1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年1月19日 23時

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