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風雲、夜闇に紛れる/1 ページ8





変なリズムで扉を5回ほど叩く。


「 嗚呼川端君か、入り給え 」

「 失礼します! 」


遊びに来た時の訪問でも、緊急時の訪問でも此のノック音で首領は私だと判断していた。うん、我ながら頭良い。


靴を鳴らして踏み入ると満面の笑みの首領が遥か遠くに座っていた。その隣にエリスちゃんがまたも満面の笑みを浮かべて佇んでいる。今日も可愛いドレスだ、首領の着せ替え人形にさせられたのだろう。

「 其れで、何か用かい? 」

「 嗚呼一寸、夜のお散歩の許可を貰いたくて!」

最早この人は仕事のことを咎めることもない様だ、首領のことだから私がすっぽかす何て事はお見通しだったのだろう。多分私の部下を動かした、其の組織はきっともう壊滅済みだ。お気の毒に。


「 ____良いよ 」


ニコリ、微笑みを飛ばしてきた其の人は矢張り得体が知れない。きっと怒ってはいないが、機嫌が良いという訳ではない。

「 有難うございます、其れじゃあ 」

「 太宰君は元気だったかい? 」

ほら矢ッ張り。

「 ____そう云えばあの盗聴器、記憶(メモリー)機能がありましたねぇ…ま、元気そうでした 」

「 そうか、良かった 」

「 其れ本当に思ってます?私はもうとっくにのたれ死んでると… 」

さぁ?なんて誤魔化した首領、怖え!めっちゃ怖え!
一歩下がり、軽く会釈をした。

扉に手をかけると背後から落ち着いた声が飛んでくる。


「 川端君 」

「 えぇ、未だ何か或るの 」


____其の瞬間、扉にかけていた手の数ミリ上にメスが刺さった。


「 うわこっわ! 」

「 ちょっと、リンタロウ! 」





「 如何して私を殺さない? 」






飛んできた予想外の質問に口を開いた。メスを扉から引き抜いて床に投げる。音を立てて平伏した其れを掴み上げた。

ぐるりと見て回すと、銀に歪んだ私の顔が映っている。


「 君には強い異能がある、然もそれは精神操作の異能で、此の組織なんて簡単に滅ぼすことができるだろう? 」

「 まぁ、今直ぐ首領の大切な人に化けることもできます、その面影を写して精神的に追い詰めることも 」

「 例えば? 」

「 ____先代、とか?
私は貴方が“ 掻き切った ”時の情景も鮮明に憶えています、あの時の太宰の顔も。

でも私は、あの人に化けることが出来ない。其れは何故だかわかります? 」


再度しゃがみ込み、歯を首領の方に向けてメスを床に置いた。


「 大切な記憶では無いと、そう云いたいのかね? 」

「 御名答!あっははは! 」


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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年3月27日 16時

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