風雲、夜闇に紛れる/2 ページ9
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「 さて、そろそろ時間だ。“ お散歩 ”に行き給え 」
「 へいへい、行ってきますよ」
ヘラヘラと笑い乍ら扉を開いた少女は、少しだけ首を後ろに傾けた。その眼の中に渦巻くものは計り知れず、“ 捨て子 ”であった彼女を拾った当人でさえ理解できない。
「 _____エリスちゃん、ですか? 」
「 …! 」
「 え?私がどうかしたの? 」
「 ああそれとも、“ ふくざわどの ”かも知れないなあ!はは、いいですねぇ首領、貴方が知らないだけで貴方の周りには“ 大事な人 ”が沢山いるのです! 」
「 ……はぁ、君には敵わないね、粗方予想はついているよ。契約…否、物騒な云い方をすれば“ 脅し ”のつもりだろう? 」
「 其れじゃあ報告書を中也に丸投げしても? 」
「 昔は可愛かったのにねぇ 」
____バタリ、音を立てて扉が閉まった。「 何なのよさっきの会話! 」幼女が首領を問い詰める声が聞こえた。
「 …相変わらずの
仕方が無い。“ 彼女がそこに在ること ”が運の尽きである。
____嗚呼、憐れなり。
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「 芥川先輩! 」
「 鬱陶しい、付いてくるな 」
「 然し…!矢張り盗み聞きは良く無いことかと 」
「 解っている。
____僕は未だ“ 彼の人 ”の異能すら知らない 」
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「 手前…ッ! 」
「 ああさっきから中也は“ 手前 ”しか言えないのかなぁ、可哀想に!私にも名前はあるんだけどなあ 」
「 ………A 」
「 …! 」
「 心底吃驚したみてえな顔してんじゃねえよ! 」
少女は手を伸ばした。其の人の、頬に。屈辱に塗れた様な(唯報告書を押し付けられただけだが)顔をしていた其の人は、薄く唇を開く。
「 …よく出来ました、中也 」
「 舐めてんじゃねぇぞ餓鬼 」
「 おおっと怖い!今一寸だけ感動的な雰囲気だったよね!ねぇ中也!?何でそんな空気読めないの此のムードクラッシャー! 」
悪口を垂れる少女に散々悪口を返してから、其の人は手を動かした。其のまま頭の上に乗せ、くしゃくしゃとかき混ぜる。
「 ____、______ 」
「 ッ!ばっ、莫迦…!こ、此の、 」
過剰なまでに効果音を立てて少女は後ずさった。ゆっくりと開く自動扉に苛立ちを隠せず、思い切り蹴る。粉砕音と共に硝子は崩れた。その隙間から少女は駆け。
「 バッキャロー!!!! 」
「 ……硝子…彼奴また報告書増やしやがって…! 」
【 ちゃんと、帰ってこいよ 】
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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむい | 作者ホームページ:
作成日時:2018年3月27日 16時