夜の底は白く／３ ページ42
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「 え？ 」
「 だから、其の儘の意味だよ。私は君の異能を無効化出来ない。 」
「 だって、太宰の異能は異能力無効化じゃあないの？ 」
少し笑った太宰が、手を振りながら歩き出す。それはお別れの合図だった。
「 これ以上私に云わせるのかい？…Aは中々鈍感だよねえ。」
「 え！一寸待って、まだ話したい事がっ 」
_____話したい事が。
私がしている事を全部話したら、太宰はまたあのときみたいに怒ってくれるだろうか。そうして、本気で怒った後に、「頑張ったね、辛かっただろう」何て頭を撫でてくれるだろうか。
「 そうだ。中也にも、異能を向けちゃダメだよ 」
虚空を掴んだ手を下ろして、ああ随分と遠くに行ってしまったのだと太宰の声を受け入れる。そう考えるたびに、元々多くも無かった世界を照らす光が一粒ずつ消えていく気がする。
遠い昔の言葉を、思い出していた。
『 _____絵の具は色をどんどん混ぜていくと黒になるよね。けれどね、光は…… 』
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( 私、違うの。私自身はその人じゃない )
ここ毎日の事で慣れてしまって、嬌声を上げるのには快感が少なすぎた。
「 ……私、早産で体が小さいの 」
目の前の男は「“彼女”はそんな人では無かった」だなんて宣ったので、最早気持ち悪さはピークに達していた。
「 だのに、こんなことして。わるい人だね 」
_____無理やりとも云えるその行為が、早く終わって欲しかった。許されるわけない。こんなの、許されるわけないのに。
私が“他人のふりをして”この人と無理やり体を重ねることで、どれだけこの人を傷付けるのだろうか。
ああ。可哀想な人だ。この人が愛しい人だと思っている女は、紛れもなく私だのに。
「 永遠に俺だけを想ってくれ、お前の為なら俺はどうなっても構わないから 」
「 …っあ 」
何て愛されてしまっているのだ。苦しくなってきた。口の奥が苦い。
私の異能力である“千羽鶴”は、「他人に変身できる」ものではなくて、「他人の幻影を自分に映す」だけだから。
だから、これって紛れもなく私なんだ。あなたの愛した人じゃない。こんなことを云われたら、困ってしまうな。
「 俺と一緒に地獄へ堕ちてくれ 」
_____御免だね、其れは。私はきっといつか堕ちる運命ならば、ひっそり静かに堕ちたいんだよ。出来ることなら、仕合わせな夢でも見ながら。
ああ、そろそろ限界だ。気持ち悪さが止まらない。早く果ててくれ。
助けて。助けて、中也。
「 ごめんなさい 」
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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、！これからも何卒宜しくお願い申し上げます！ (2018年4月2日 12時) (
レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2018年3月27日 16時
