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わたしより先に死ぬのなら逢わないで/3 ページ34





「 太宰… 」

「 やあ中也、さっき振りだね! 」


Aは強く瞑った目を恐る恐る開いて、此方を見た。


「 もう、発 情期の猫かな中也君は?ずっとニャアニャア鳴いてて一寸煩いから見に来ちゃった 」

「 だ、太宰! 」

「 あれぇ、A。泣いてるの?そんなことでは泣かない様に教育した積りだけど 」


彼女は大きな瞳を潤ませて此方を見つめた。うん、解ってる。中也相手じゃあ、君も抵抗なんかできないよね。


「 でもいいの?君はさっき中也に私も男だって云われたばかりでしょう?同じ目に遭わされても知らないけど 」

「 ……どっから聞いてた、手前 」

「 わぁ怖い。それより君の下にいるAが半泣きだけど 」

「………チッ 」


中也は素早く身を翻してAの上から退き、自分は別のソファに座った。Aはショックから立ち直れずにいるのか、ソファの上に身を沈めたままだ。


「 早く消えろ 」

「 うーん中也、高級嗜好ってあんまりモテないと思うけど。Aの部屋は? 」

「 人の話を聞けよ! 」


嗚呼、中也はAにだけ想って貰えればいいんだった。かといって彼女が高級嗜好の男が好きだとは思えないけれど。


「 あれ、若しかして君たち此処に一緒に住んでるの? 」

「 だから何だよ 」


Aが沈むソファに腰を下ろして中也と真っ向から向き合う。彼女の柔らかい髪を掬うと、当の本人はすうすうと寝息を立ててもう夢の中にいた。真逆とは思っていたけれど。


「 …中也、一緒に住んでるのに手も出したことないなんて、意外と奥手だねえ 」

「 手前矢っ張り死なす 」

「 しーっ、Aが起きるじゃあないか 」


それに、私を消した時点で其方は負ける。首領の好きなゲェム理論でいけば、今の状況では此方が有利。


「 じゃあね、中也。今度Aを泣かせるような真似をしたら…… 」

「 手前も沢山泣かせたじゃねェか 」


「 ふふ。Aを泣かせていいのは私だけなんだよね。君は慰め役に徹してよ。その方が中也にとっても都合がいいでしょう? 」

「 相変わらず糞みてェな性格しやがって 」


ひらり、君が笑う顔ってあんまり見たくなかったんだよね、昔から。泣かせたかった訳じゃあないんだけど、どうやら君の笑った顔って私に似ているみたいだから。

だから、君が泣くとき、それは私といるときだけでいい。今はまだ、眠ったまま、子供のままで。


「 もうひとつの目的は、“引き抜き”だったんだけどねえ。……失敗、しちゃったな 」



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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年3月27日 16時

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