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朔間凛月は、予想した通り、やっぱりそのベンチに腰掛けていた。
最初から何だかおかしいと思っていたのだ。ずっと見てきた私の目には、感情を隠そうとしている彼の姿が異様なものとして映った。
ずっと見てきて、と言って、私のことを訝しんだ人がいるかもしれないが、これは至って純粋な感情である。恋といえば聞こえはいいけれど、果たしてそんな気持ちなのだろうか。自分でもわからないが、ううん、やっぱりそんな純粋で初々しくて平和な感情じゃない。
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彼の存在は、良くも悪くも、私の人生を大きく変えてしまった。勿論彼は意識などなにもしていないし、むしろ私の存在は彼の中で、無意識にも_____隅へ隅へと追いやられている。
だから、思い出せないのなんて当たり前だし、“ 思い出す ”確証があって彼に声をかけたわけでもなんでもない。
やっぱこれ、恋じゃないや。
だって、見向きもしなかったじゃない、朔間くんも、私自身だって。互いに向き合おうともしなかった。ひどい時は話しもしなかった。知ろうともしなかったし知りたくもなかったよね。ただうわべだけの関係で、そう言ってしまえば少し聞こえが悪いけれど、なかなか触れてもくれなかったじゃない。周りに比べて、少し早めに大人になってしまった私たちの、隅へ隅へと追いやられた関係は、誰も知ることはなかったのだ。
_____彼が失恋するところを目の前で見た。
新婦と仲が良かったし、新婦は何と言ってもプロデューサーだったから、もしかしたら会えるかもだなんて思っていたら、彼はその子を好きになっていたしわたしの目の前で呆気なく恋を果てさせた。
なんだか、拍子抜けしたよ。
君は、随分大人になったんだね。
大人ぶっていたあの頃の君の影も形もないくらいに、大人になったんだ。
大人になる、って、難しいよなあ。時間は私たちをすぐに置いて何処かへと言ってしまうし、時には立ち止まって後ろで私たちの背中を見ていることだってざらにある。いや、あったよね。
私の時間は一向に前に進まなくて、君をまだ忘れられずにいるよ。どうしたらいいかわからないから、早く迎えに来て、ね。
朔間凛月くん。
私は多分、君が私を手に取ったあの頃から、君のことが好きだったんだよ。それは友情でも恋愛感情でもなくて、それでもたしかに形には変えられないものだったんだ。
朔間凛月くん。
その日がなんだったか、今日という日がなんだったか、_____
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彼の手にした結び切りの袋を、蝶々結びに変えてしまったのは、もしかしたら私なのかもしれない。
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フラッペ - ねむいさん» りっちゃんはいいですよね（＾＾）独特な雰囲気というか無気力で可愛らしいというか……でもライブではきちんとする所、好きです。更新の方は細かく繊細に書かれているのがねむいさんの作品の良いところですので、自分の思うがままに書いていただければ幸いです……♪ (2018年8月22日 1時) (
レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - フラッペさん» ありがとうございます。フラッペさまからコメントをいただくたび、有難いという気持ちで胸がいっぱいになります。お気付きかとは思いますが、私も朔間凛月が一番の推しです。しかし推しほど書くのが難しい！精一杯尽くしていきたいと思いますのでよろしくお願いします！ (2018年8月20日 10時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ - 新作おめでとうございます（＾＾）推しのりっちゃんなのでとても嬉しいです……!!もう一話目で「好き」と口からポロりと出てしまいました。ホントにこの作品の続きがむちゃくちゃ気になります。ねむいさんの事応援してます♪ (2018年8月18日 21時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2018年8月15日 23時
