58 翠の過去 ページ19
優「A!無事だったんだな!」
優兄ちゃんは無傷で戻ってきた私を見ると、構えていた銃を降ろして駆け寄ってきた。
会議が行なわれるはずだった部屋では、研究者達が優兄ちゃんに銃口を向けられ拘束されていた。
翠「うん、私は大丈夫。みんなも…やっと自由になったよ。」
私は子供達を無事に解放できた事を報告した。
優「そうか…!良かった…本当に良かった!」
自分の事のように喜ぶ優兄ちゃん。
これが…この顔が見たかった。
この笑顔が見れるのなら…他に何もいらない。
「無駄だぞ。」
翠「!!」
突然の研究者の冷たい声で我に返る。
「お前達の目を盗んで、こっそり助けを呼ばせてもらったのでな。そろそろ騒ぎを聞きつけた別の研究者達が大勢駆けつけてくるだろうよ。」
優「!?何だと…。」
優兄ちゃんは研究者が助けを呼んだ事、やっぱり気付いてなかったんだ。
でも大丈夫。私がついているから。
翠「優兄ちゃん…子供達が無事に逃げたか、もう一度確認してきてくれる?さっききちんと見て回ったつもりだけど…私の知らない所で怪我でもしてたら…大変だから。」
優「はあ!?でもお前…武器持ってねえだろ。駆けつけて来たおっさん達に攻撃されたら…。」
優兄ちゃんは心配そうに私を見つめた。
でも、
翠「大丈夫。私は…成功作だから。万が一捉えられても殺されるという事はない。」
自分で成功作だと名乗るのは初めてだった。
今までずっと…成功作として生まれてきた事を後悔してきたから。
失敗作として早く人生を終えたい。
ずっとそう思っていたから。
でも…
貴方をこの力で守る事が出来るのなら…私は胸を張って成功作だと名乗れるだろう。
優「分かった!直ぐに戻ってくる!」
優兄ちゃんは力強くそう言い放って、研究所の外へ飛び出していった。
部屋には、私と研究者達だけが残る。
翠「貴方達はさっき此処に助けが来ると言いましたけど、無駄ですよ。」
研究者達に冷たい声で言い放った。
「はっ、なぜそんな事が言える。」
一人の研究者が馬鹿にしたように聞いてきた。
翠「それは…
私がさっき、その人達を殺したからです。」
暫くして我に返ると…私の目の前には再び血の海が広がっていた。
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文スト - こんなに素晴らしい作品を作っていただきありがとうございます。とても感動いたしました。特に中也さんのありがとうな相棒が泣けました!!こんなに感動を与えてくれる作品はなかなかありません。これからも頑張ってください!!応援しています!! (2020年4月4日 0時) (レス) id: a01fb1d9df (このIDを非表示/違反報告)
落葉 - とても。良かったです。すみません、何かこう…もっと出したい想いがあるのですが言葉が上手く出てこず…でも本当にこのお話、好きです。このお話に出会えて良かった。 (2019年1月14日 23時) (レス) id: 86e3e2dd18 (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - ふとこの小説を見つけて読んでみると、とても面白くて引き込まれてしまいました!とても感動的な話をありがとうございます!夢主の過去と最期の時に涙しました…! (2019年1月4日 21時) (レス) id: 29bb7cf916 (このIDを非表示/違反報告)
夢ノ胡蝶(プロフ) - ミーシャ アルグさん» コメントありがとうございます!今でもこの小説を読んでくださる方がいて、コメントまで頂くことができて、嬉しい気持ちでいっぱいです…!本当に最後まで書いて良かったです。読んでくださってありがとうございました! (2018年7月7日 22時) (レス) id: 418ca22426 (このIDを非表示/違反報告)
ミーシャ アルグ - 感動しました~!!(ノ_・、)本当に面白かったです! (2018年3月7日 6時) (レス) id: 31eda759a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢ノ胡蝶 | 作成日時:2016年8月28日 13時