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翠「用件は何ですか?」
私が冷たい声でそう言うと、太宰さんも先程とは全く違う真っ暗な目になった。
太「君の事、ちょっと調べさせて貰ったよ。」
翠「……へえ。」
顔には出さなかったが、私は内心ではかなり驚いていた。
この男…どこまで私の事を知っている。
太「とは言っても、山のように時間を費やしたにも関わらず、君の事はまだほんの少ししか分かっていない。一体どうやったら此処まで綺麗に過去を抹消出来るのか、是非教えて欲しいくらいだよ。」
…当たり前でしょ。
私の過去は…誰にも知られるわけにはいかないんだ。
中原さんにも…もちろん太宰さんにも。
私がにこにこ笑って聞いていると、太宰さんはゆっくりと口を開いた。
太「極秘異能研究所。」
翠「!?」
私の反応を見て、太宰さんは「矢張りね。」と呟いて話を続けた。
太「ある情報屋がこの研究所の事について詳しくてね。なんでも、少し昔に大量殺人事件があったそうじゃないか。おお〜怖い怖い。」
太宰さんはわざとらしく震え上がってみせた。
翠「ふふ、だから何なのですか?」
私が笑顔で聞くと、太宰さんは少し笑って答えた。
太「その殺人事件があった日と、…君が中也の部下を殺した日…同じなんだよね。これって偶然なのかな。」
…どうして私が中原さんの部下を殺した事を…、
太「ああ、因みに君が中也の部下を殺したって話は、酔った中也が電話で自分から話してきたんだ。別に変に聞き込みした訳ではないよ。」
…中原さん。そういえば酒癖悪いんだっけ。
太「そしてその研究所と中也の部下が殺された場所…すごく近いんだよ。短時間で二つの場所を移動する事も簡単なんだ。」
…だんだんと、体に力が入ってくるのを感じた。
翠「だから、何です?」
自分で聞いておきながら、心の中では言わないでと何度も叫んでいた。
やめてやめてやめてやめてやめてやめて! !!!
太「君が…
その殺人事件の犯人なんじゃないかって話。」
翠「やめて。」
ズシュ…!
気がつくと私は、無意識に異能で出した手で太宰さんの頬を斬りつけていた。
太「!?これは…」
太宰さんは突然自分の頬から血が流れ、訳がわからない様子だった。
翠「中原さんから探偵社との協定の話は聞いているので、これくらいで済ませておきますが…次はないですよ。」
私はそう言うと、震える手を押さえつけ河川敷を後にした。
ごめんなさい
私には…もう隠し通せる自信が、
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文スト - こんなに素晴らしい作品を作っていただきありがとうございます。とても感動いたしました。特に中也さんのありがとうな相棒が泣けました!!こんなに感動を与えてくれる作品はなかなかありません。これからも頑張ってください!!応援しています!! (2020年4月4日 0時) (レス) id: a01fb1d9df (このIDを非表示/違反報告)
落葉 - とても。良かったです。すみません、何かこう…もっと出したい想いがあるのですが言葉が上手く出てこず…でも本当にこのお話、好きです。このお話に出会えて良かった。 (2019年1月14日 23時) (レス) id: 86e3e2dd18 (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - ふとこの小説を見つけて読んでみると、とても面白くて引き込まれてしまいました!とても感動的な話をありがとうございます!夢主の過去と最期の時に涙しました…! (2019年1月4日 21時) (レス) id: 29bb7cf916 (このIDを非表示/違反報告)
夢ノ胡蝶(プロフ) - ミーシャ アルグさん» コメントありがとうございます!今でもこの小説を読んでくださる方がいて、コメントまで頂くことができて、嬉しい気持ちでいっぱいです…!本当に最後まで書いて良かったです。読んでくださってありがとうございました! (2018年7月7日 22時) (レス) id: 418ca22426 (このIDを非表示/違反報告)
ミーシャ アルグ - 感動しました~!!(ノ_・、)本当に面白かったです! (2018年3月7日 6時) (レス) id: 31eda759a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢ノ胡蝶 | 作成日時:2016年8月28日 13時