よしのりくん。 (ページ12)

今日:29 hit、昨日:8 hit、合計:20,752 hit

12 ページ12

正門side

抱っこしながらAを家に運んでた時すごく身体が震えていた。俺の首元のシャツを掴んで、離さなかった。何かを求めてるかのように、そう感じた。

駅でAらしき女性を見た時また会えないだろうかと連絡を取っても帰ってこなくて心配で毎日気にかけた。

でも会えた時、すごく嬉しかったと裏腹にAの身に何かがあったと察した。やっぱり、あの時会った時止めたら良かったと後悔した。

前よりも痩せ細って唇なんて切れて誰かに殴られてる跡もあって。見ていられなかった。
家に連れて帰ってお風呂を沸かしてる間なんで、気付いてやれなかったんだろう、と後悔した、凄く。

正『なあ、腕、見せてくれへん？』

『 …、』

さっき少し見えた腕の火傷の跡。気になって見せてくれと頼むと小さく震えながら伸ばしてきた腕。見せて伸ばしてくれた腕の袖を捲るとそこには痛々しく残るいっぱいのタバコの火であろう火傷のあとがいっぱいあった。

正『 …お腹も、見てええ？』

いつからか分からないAは長い間怖い目にあってきた。それを思うとほんまに後悔しかなくて涙が出そうやった。

渋々手を前から退けてくれて、服を胸の下まで捲るとそこにも殴られたり蹴られたりしてきた後の痣がいっぱいあって俺は黙ってそのままAを力強く抱き締めた。