心躍る夏へ[ポケモン] (ページ1)

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変わらない私たちと夏祭りグリーンページ1

(グリーンside)

空は光害で星も見えず、ただ黒い闇が広がっているだけだがその闇を照らすかのように祭りの温かく、素朴な灯が煌めいていた。

街のアーケード街ではたくさんの出店や人で賑わっている。

『もう、グリーン早く行くよ。限定ビレッジサンドが売り切れちゃう。』

Aは白地に藍色の紫陽花柄がついた浴衣の袖を揺らし、あっちへ行こうと目的地を指さした。

俺は彼女のAとトキワシティの夏祭りに来ている。とはいえもうそろそろ帰る予定だ。

コイツは素直じゃなくてワガママな所もあるけど、たまに見せる笑顔や照れた顔がとても可愛い。

それに、浴衣も手の込んだヘアアレンジもよく似合っている。

他にも……Aの好きな所を言い始めるとキリがないからこれぐらいにしよう。

「はぁ、お前食いすぎだろ？何回食えば腹いっぱいになるんだよ。太るぞ？」

彼女のことは大好きだ。でも、さっき言ったことへの反応が楽しみだから思わずいじってしまう。

ったく性格悪いな俺。まぁそんなこと今更か。

『はぁ？まだ太ってないから。明日は食事制限するし。逆にグリーンは食べないの？』

そう言いながらベビーカステラをつまむ彼女。コイツはこの祭りで一体どれぐらい食べたんだよ。

今日食べたのはかき氷、綿菓子、焼きそば、焼きトウモロコシ、フライドポテト、今食べてるベビーカステラなどなど。

マジコイツの胃袋どうなってんだよ。Aには胃の中にブラックホールがあるに違いない。

「俺はいいんだよ。お前みたいに大食いじゃねーし。」

『ハイハイ大食いで悪かったですねー。これ食べたら帰ろうか。さすがにこれ以上は食べないから。』

いつものように俺たちはいじったらいじり返すという、友達だった頃から変わらないやりとりをする。

それが良かったのか、Aは今まで付き合った彼女の中ではいい意味で一番気を遣わないし、話しやすい。

こんなこと言ったら絶対アイツ怒りそうだから言わないけど。

「それじゃ帰んぞ。もうそれ食い終わったろ？迷子になんなよ。」

『私をいくつだと思ってんのよ。5歳６歳とかじゃないからそんな心配いりません！とりあえず帰ろうか。あ、私ゴミ捨ててくる。』

Aは下駄をカランコロン鳴らしながらごみ捨て場に向かった。

その間俺は今日撮った写真を見て時間を潰す。撮ったのはほとんどツーショット。

Aの写真映りの悪さは笑えるし、綺麗に撮れた思ったらアイツは照れているためなのか笑っていない。