帰宅 ページ15
「ただいま〜っ！」
悟さんの声が玄関の方から響いてきた。
アルバムを急いで元の位置に戻す。
見てはいけない物だと思ったからだ。
玄関へ出向くと、満面の笑みを浮かべ、彼は長い両の腕を広げて立っていた。一目でハグをご所望だと分かった。
しかし。
「…えっ、何ですか。その目隠し…？」
帰ってきた彼は目元に黒いアイマスクをしていた。
最後に見た優艶な雰囲気とは打って変わって、少し珍奇な格好だと思った。その格好で仕事へ行っているなら尚更のことだ。
私の問いに答えることはなく、彼は広げた腕をバッと
少しずつ距離を詰めると、腕を強引に引っ張られ倒れ込むように彼の懐へダイブした。
「ひっ」
抱き締めるなり、悟さんは私の首に顔を埋めると、深く息を吸った。
すぅっと空気が抜ける感覚が首元に走り、身を縮める。
匂いを嗅がれているのかと思い身を引いたが、許すまいと捕縛され離れられなかった。
彼はゆっくりと溜息のように吐き出すと、口を開いた。
「A、ただいま」
「…おかえりなさい」
「コレ、気になるの？」
息がかかるほど、悟さんの顔が近い。
彼は今になってアイマスクに手をかけた。
「あっ！待って！待ってくださいっ！」
彼の手を
よく考えてみて欲しい。
悟さんのお顔を、息がかかるほど近い距離で見つめられるのか。
否。
私には無理な話だ。
私にはまだ早い。そう、刺激が強すぎる。
状況が状況だ。
個人的にはアイマスクをしている彼の方が落ち着く。
理由は単純。彼の整い過ぎた顔を直視出来ないからだ。
照れすぎて思春期真っ只中の男子中学生のような反応になってしまう。
「外さずに、リビングへ行きましょう」
「え、何で」
颯爽と彼の腕から逃げ、リビングへ向かった。
「いい子で待ってた？」
悟さんはソファーへ腰を下ろす。
いい子で…。あの�猝鸞��瓩惑砲辰討い覆ぁ�
私は静かに頷く。
卒業アルバムのことを言おうとしたが、最後のページにあった不気味な写真が脳裏に浮かび、思いとどまる。
無性に、言ってはいけないと本能で察してしまう。
「A、僕も今日いい子に頑張ったんだよ〜。褒めて褒めて」
隣に座る悟さんは、私の膝に頭をあずけた。
犬のような甘え方が、大きな体と相まって面白い光景だ。
頭を撫でるとふわふわの髪が指先を滑らかに通る。
「…お帰りのちゅーして」
「しません」
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松野星月(プロフ) - コメ失礼します！わー、心に来る。続きがますます気になりました！楽しみに待ってます！ (2023年5月4日 16時) (
レス) @page37 id: 7e5eb61c5c (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します！すごく面白かったです！質問なのですが,この作品は完結でいいのですか？内容的に途中だと思うのですが…もし,続きを書く予定があるのなら続きみたいです！更新頑張ってください(^^) (2023年3月21日 14時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 一般タコピーさん» 返信遅れてごめんなさい！コメントありがとうございますっっ！！身に余るお言葉ですがめっっっちゃくちゃ嬉しいです(/Д`;💕︎ 不定期になってしまいますが、更新頑張ります！- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b (2022年12月19日 13時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
一般タコピー - 神作品だ！作者様の文才が素晴らしくて一気に読んでしまいました！更新頑張ってください！ (2022年12月15日 18時) (レス) id: e79aa4edc0 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - あさん» 嬉しいです！！ありがとうございます！私も好きです！！！(唐突) (2022年12月13日 17時) (レス) @page36 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんのんた | 作成日時：2021年10月4日 4時
