忘れもの ページ22
それは…約束なのか…？
という率直な疑問が頭を埋め尽くす。
私は了承した覚えもなく、なぜこんな状況に晒されているのか理解が追いつかず半ば錯乱状態だった。
視界が一気に明るくなると、すぐ目前には、悟さんの整い過ぎた顔があった。
「ねえ、Aからしてよ…。」
色欲を含んだ声色が、熱く鼻先にかかる。
不意に自由になった両手には、彼の熱が残った。
「えっ、えっと」
「じゃあ、続きでもする？」
不敵に笑う表情を見て、どっと汗が溢れる。
待たせていては、また何か仕掛けてくるかもと、固く目を閉ざして投げやりに彼の後頭部へと手を回した。どうせ数秒で終わると自分に言い聞かせ、もう何もかも必死だった。
そんなヤケクソな口付け。
悟さんは一瞬驚いたようにヒュッと鼻を吸った後、すぐに脱力して唇を押し当ててくる。
口を離そうとしたがソファーに背中を預けているせいで、これ以上身を引くことが出来ない。
顔を背けようと思ったけれど、それを察知した悟さんの手に固定されて適わなかった。
静止しようと口を開けば、ぬるりと熱い舌が入り込んで来たのが分かった。
動揺したまま足をばたつかせたり、服を引っ張ったりと抵抗するが、全然諸共されず。
ただ、口内を這いずる感覚に、脳がドロドロと溶けだしたように痺れた。
彼は何度も角度を変えて、深く味わうように堪能している。
…そして満足したのか、深く息を吐きながら唇が離れていった。
呆然とする頭と、ぼんやりと浮かぶ視界。
「で、ただいま。」
「おかえりなさい…」
私が思っていた『ただいまのちゅー』とはかけ離れ過ぎた。こんなにクラクラするものなのか。
満悦とした彼の表情に、何だか少し腹が立った。
「悟さんは、もっと我慢を知るべきですよ…」
「我慢？」
苦言を呈した私に、彼は首を傾げる。
さも自分が、日頃から我慢してるのに何急に、と言った態度に、私は続けた。
「こういうこと、普通は恋人を押さえ込んでまでしないと思うんです。だから、少し我慢して…」
「日頃から死ぬほど我慢してるよ。」
「え、どこがで…」
刹那、ゴリっと硬いものが下半身に当たる。
位置的にそれが何なのか一瞬で分かった途端、思考が完全に停止した。
「僕さ、毎日こんなになっても、こんなキスで抑えてるんだよ。」
「へ…」
「ね？我慢してるでしょ？」
「え、えっ…えらいですね…。」
「ねぇ、本当に偉いよねぇ。」
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松野星月(プロフ) - コメ失礼します！わー、心に来る。続きがますます気になりました！楽しみに待ってます！ (5月4日 16時) (
レス) @page37 id: 7e5eb61c5c (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します！すごく面白かったです！質問なのですが,この作品は完結でいいのですか？内容的に途中だと思うのですが…もし,続きを書く予定があるのなら続きみたいです！更新頑張ってください(^^) (2023年3月21日 14時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 一般タコピーさん» 返信遅れてごめんなさい！コメントありがとうございますっっ！！身に余るお言葉ですがめっっっちゃくちゃ嬉しいです(/Д`;💕︎ 不定期になってしまいますが、更新頑張ります！- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b (2022年12月19日 13時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
一般タコピー - 神作品だ！作者様の文才が素晴らしくて一気に読んでしまいました！更新頑張ってください！ (2022年12月15日 18時) (レス) id: e79aa4edc0 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - あさん» 嬉しいです！！ありがとうございます！私も好きです！！！(唐突) (2022年12月13日 17時) (レス) @page36 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんのんた | 作成日時：2021年10月4日 4時
