○○○とシちゃったら

10* ページ11

「…どうして、そう思うの？」





『及川先輩は、かっこよくて…っ、すごく、かっこよくて…素敵な人なんです…！ 先輩の周りには、いつも可愛い人がたくさんいて…っ、シてもらったあと、わたし、すごく恥ずかし…くて…っ』





「うん、うん」







『ミーハーな気持ちで、頼んだわけじゃ、なくて…！ 本当に、好きなんです…！ ずっと、好きだったんです』






「分かるよ。だって、あんな頼み方するくらいだもん」







『ふぅっ、先輩ぃ…っ』







大粒の涙をとめどなく流して



俺への思いを綴る彼女が





心底愛おしくて、可愛くて、たまらない。








ひっく。と声を上げて泣く彼女を抱きしめて




大丈夫だよ。と落ち着かせて



佐藤ちゃんの話を整理すると









シた後はすごく満たされた気持ちでいたらしい。




だが、俺の周りにいつも大勢の人(主に可愛い女子)が



いるのを目にして



自分がした事の重大さに気づいたと。





将来有名になる人に


傷をつけてしまったのがとても恐ろしくなり、



これ以上傷をつけるわけにはいかないと



思っての行動だったけれど






離れても俺への気持ちは消えるどころか



前よりも増してしまい苦しかったこと。




自身が俺の足枷になるのを恐れる気持ちの


板挟みになって




しばらく不眠だったことを打ち明けてくれた。









生態が謎だった佐藤ちゃんの心を知れて、



嬉しいと思う反面






大きな誤解をされているなと思った。






忘れているだけかもしれないけど。









佐藤ちゃんの呼吸が落ち着いてきたタイミングで




一旦体を離して、椅子に腰をかける。






そして手を握り、



涙に濡れた佐藤ちゃんの瞳を見つめる。









「佐藤ちゃんはさ、ひとつ大事な事忘れてるよ」






『…え？』









分からないと言いたげに眉を寄せ、小首を傾げる。







それは、





大前提で、一番大切なこと。








俺が幸せになるために、尊重されるべきこと。









.









「誰と幸せになるかは、俺が決める」

11*→←09*

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す