その温かさは知らない【srr】

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バイト先は大学から少し離れた所にあり家からだともっと遠い



でもバイト先の最寄り駅は混むことが少ないため安心している



電車が私以外の人を乗せて出発していく




『電車、来るまであと20分かぁ』




なんて独り言を呟く





そ「今電車通って行きましたよ？乗らなかったんですか？」




『え……？』





振り返ると見覚えのある男性





『きっ、昨日の……！！』



そ「あ、覚えててくれたんですね。俺だけかと思っちゃいました」



『いえ……』





お決まりの沈黙



お礼言いたいとか思っときながらまた足がすくんで声も出ない



言わなきゃ、言わなきゃ、言わなきゃ…



一歩が遠い


こんな重たいっけってほど




半歩でも進んだら届くかな……？




『あ、あの！！！！』





聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声だった




そ「はい？」




あっ、届いた



嬉しい、なんて思ってしまう



『昨日は、ありがとうございました。

その…失礼でしたよね。助けていただいたのにすぐに帰ってしまって…お粥も』



顔があげられない



そ「もう体調は大丈夫なんですか？」



『え？あ、はい』



そ「なら良かったです！水代もお粥も気にしないでください！」



『いえ、そういう訳には…あ！それなら私なにかします！』



そ「え？」



頭で思ったことがそのまま口から出てしまって私もパニック



何言ってるの私〜〜！



『いや、あの、その、なんでもという訳ではないのですが……』



そ「いいんですか？」




んんんん、なんでこの人乗り気なの！？


もう引けない。今の私には「はい」か「YES」という選択肢しかない




『はい…』



そ「それなら連絡先教えてください！」



何をされるか、買わされるかと覚悟したが…連絡先？



『いいですけど……』



そ「やった！」




互いにスマホを取り出して連絡先を交換した

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