私が帰る場所【skt】

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1度流れ出した涙はそう簡単には止まらない


気づけば私は地面に向かって泣いていた


ほんとはずっと前から気づいてた


昨日決意する前から


坂田の居心地の良さに、この暮らしを望むことに


でもこんな私がそれを簡単に手にするなんて許されないと思っていた


坂田は……それでもいいと言ってくれるのか？



さ「A、1回しか聞かへんからよー聞きや？」



坂田は私に目線を合わせようと、膝を地面につけ私の顔をあげた


さ「Aは誰の所にいたい？俺の家を出ていきたいか？」


そんな優しいこと聞かないで欲しい


答えなんて分かりきってるくせに


『……い、やだ。坂田の、坂田の家にいたい！帰りたい！』


こんなことを望んでいいのだろうか


さ「あぁ、ええよ。ずっと家におったらいい。

初めて…帰るって言ってくれたな……。」


初めて……そうか、今までは家って自覚がなかったから戻るって言っていた


これからは帰るって言っていいのか


『ほんとにいいのかよ？私迷惑かけるよ？

リスクもあるし、坂田の仕事？にも影響することもあるぞ？』


さ「そんなの知ったことか笑

俺を思って離れるって言うくらいなら、俺のために家にいてや。

そして、また明日から学校通ってたまに寄り道してもええから帰ってきて、ゆっくり家で暮らしたらええやんか」


坂田のために坂田の家にいる

それでいいのか

特別な理由も、言い訳も、必要なかったんだ


『分かった。もう家出しようなんて考えないから

私を受け入れてくれてありがとう』


さ「おう！」


泣きじゃくって迷惑かけまくって坂田を汗だくにして


それでも心は晴れやかだった

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