居心地のいい場所とは (ページ26)

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大野side(過去)

「早く早く～！」

「はいはい、すぐ行くすぐ行く」

小学四年生の夏
大野家は家族で遊園地に行った
雲一つない青空が広がる絶好のお出かけびより
俺は楽しみで仕方なくて早く早くと両親を急かした

父さんが運転席に乗って、母さんは助手席に。
そんな二人を後部座席から見るのが好きだった
この日もいつものように、この二人が楽しいところに連れて行ってくれるって思ってた

あの事故にあうまでは…

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

遊園地のすぐ近くの交差点で俺達は事故にあった
信号無視のトラックとぶつかったのだ
俺達の車は大きく飛ばされ横向きに倒れた

俺は気を失って目を開けた頃にはもう病院のベッドで寝ていて、怪我の手当も終わっていた。
幸い顔に軽いかすり傷と、倒れた方の右腕を少し深いが切っただけですんだ

「父さんと母さんは…？」

真っ白な部屋には俺と看護師さんだけ
両親の姿はなかった
あんなに優しい笑顔で言葉をかけてくれた看護師もこの時だけは何も答えてくれなかった

「ねぇ、どこいったの？会わせてよ」

ついに泣き出した俺を見かねて看護師さんはやっと口を開いた

「智くん、落ち着いて聞いてね…？

智くんのお父さんと

お母さんは

もう、

いないの。」

いない…？

理解ができなかった。

だって遊園地連れて行ってくれるって

観覧車一緒に乗ろうって

約束したのに

まだ行ってないよ？

まだ乗ってないよ？

『うっそついたらはりせんぼんの～ます！』

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三人で小指を絡めて交した約束は

もう一生果たされることはない

「ダメだよ…約束守ってないんだから

針千本飲まないと…いけないんだよ……、

死んじゃったら

飲ませられないじゃん…」

家族三人の笑顔が写る写真を

離れないようにぎゅっと抱きしめた