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「やっぱり来なきゃよかった。」
「そんなこと言うなよ。」
昔からこの体のせいで学校は休みがちで
病院か家で過ごすことが多くて、
家族や照くんぐらいしか関わらない生活だったから
こういう人がいっぱいいる所で話すのが苦手だった。
「A、あそこにいる奴見える？」
「あのフープピアスの？」
「そうそう、あいつ。
ふっかがあのぬいぐるみ取ってくれたの。」
女の子に囲まれて楽しそうにしている
フープピアスを2連でつけたふっかと呼ばれる男性。
話したこともない彼に、一目で恋に落ちた。
「一緒にお礼言いに行く？」
「照来てんなら言えよ〜、早くこっち！」
すでに酔っている男性陣が照くんを呼ぶ。
私の方をチラリと見てそのお誘いを断ろうとするから、
服のすそを引っ張って首を横に振った。
「ちょっと夜風に当たりたいから
照くんはみんなと楽しんで。」
「…、送ってくから絶対帰んなよ？
あと絡まれたらすぐ連絡…」
「わかってるから。」
そんなに心配なら連れてこなければよかったのに
なんて口が裂けても言えないから素直に頷くと
照くんは眉を下げて何度もこちらを振り返りながら
声をかけてきた集団の中へ入っていった。
「帰りたい…。」
それを見届けると一言本音がこぼれ出て
荷物を持ちマフラーを巻いて居酒屋を出ようとすると
あのピアスの男性がいなくなっていることに気づいた。
一目惚れしたところで付き合いたいとは思わないし
特に残念がることもなくその場を後にした。
「あ、いた。」
「…ん？
あれ、俺知り合いだっけ？」
少し歩いて近くの公園を通り過ぎようとしたとき
入り口付近のベンチに腰かけたあの男性を見かけた。
右手に煙草、左手に缶ビールを持ち
へらへらと笑う彼に、段々と幻滅していく。
「いや、さっき飲み会で見かけたから。」
「そっか、抜け出してきたの？
よかったら一緒にお話ししない？」
私が一番苦手とするナンパまでしてきて
一気に好意が引いていくのがわかった。
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ねこ - 思わず感動して大号泣してしまいました、こんな素敵な話に出会えてよかった。ありがとうございます。 (10月26日 18時) (
レス) @page35 id: 0201ad6d5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 拝読しました。途中から“もしかしたら。。。”という思いがよぎり読み進めており、最後の方は涙が止まりませんでした。いろんなことを考えさせられました。とても素敵な作品です。 (2023年1月18日 16時) (レス) @page35 id: 362aab2dda (このIDを非表示/違反報告)
マシ(プロフ) - 大号泣しました。最高の作品でした。 (2021年7月3日 1時) (レス) id: 4e17f70d50 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 未さん» 読んでいただいてありがとうございました！そう言っていただけてすごく嬉しいです！ (2021年4月2日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
未(プロフ) - 今更ながら作品読ませていただきました（ ; ; ）生きるという言葉の意味を綺麗な言葉ながらに深く込められていた心に刺さる作品でした！これからも愛読させていただきます！ (2021年3月15日 11時) (レス) id: dd8bdcffd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月27日 20時
