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＿you side＿
「これ欲しがってたでしょ。」
「どうしたのこれ！」
大学の食堂で昼食を食べていると
先輩の照くんが隣に座り、大きな紙袋を渡してきた。
中には私の好きなキャラクターのぬいぐるみが入っていて
それはゲームセンターで何回やっても取れず諦めていたものだった。
「照くんってクレーンゲーム得意だっけ？」
「ああ、いや
得意な奴がいてさ、代わりに取ってもらったの。」
自分から聞いておいて薄い反応を返すと
ぬいぐるみを取り出してしばらく眺めていた。
すると隣から大きな咳払いが聞こえて
慌てて紙袋の中にしまって、照くんの方へ向けた。
「俺のこと忘れんなよ。」
「ごめん嬉しくて。」
「まあいいけど、それより今日の夜時間ある？」
照くんからのお誘いは珍しいことではない。
高校からの先輩で、よく面倒を見てもらっていて
休みの日にはよく甘いものを食べに行ったりしていた。
「特に予定はないけど。」
「じゃあさ、Aも20歳になったんだし
サークルの飲み会あるから行こうよ。」
強制的に入れられて、ほぼ幽霊メンバーと化している私。
人数も多いから特に気にされていなくて
こうやって面と向かって誘われるのは初めてだった。
「…何か企んでる？」
「違うよ、せっかく治療終わったんだし
お祝いもかねてどうかなって。」
私は小さい時から病気がちだった。
そしてついに高校生の時悪性腫瘍が見つかって
照くんに支えられながら学業と闘病生活を両立させた。
腫瘍は大きくて取り切ることができず
少しずつ取って退院して、再発してまた入院してを
この4年間ずっと繰り返してきた。
最近ようやく何度目かの退院ができて、
今は普通の日常生活を送っている。
「いいよ、またどうせ再発するから。」
「A。」
いつもより低いトーンで名前を呼ばれて
照くんの顔を覗き込むと真剣な表情で、自然と息をのんだ。
「…お酒は飲まなくてもいいなら。」
小さな声で答えると、目を細めて笑顔を見せた。
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ねこ - 思わず感動して大号泣してしまいました、こんな素敵な話に出会えてよかった。ありがとうございます。 (10月26日 18時) (
レス) @page35 id: 0201ad6d5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 拝読しました。途中から“もしかしたら。。。”という思いがよぎり読み進めており、最後の方は涙が止まりませんでした。いろんなことを考えさせられました。とても素敵な作品です。 (2023年1月18日 16時) (レス) @page35 id: 362aab2dda (このIDを非表示/違反報告)
マシ(プロフ) - 大号泣しました。最高の作品でした。 (2021年7月3日 1時) (レス) id: 4e17f70d50 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 未さん» 読んでいただいてありがとうございました！そう言っていただけてすごく嬉しいです！ (2021年4月2日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
未(プロフ) - 今更ながら作品読ませていただきました（ ; ; ）生きるという言葉の意味を綺麗な言葉ながらに深く込められていた心に刺さる作品でした！これからも愛読させていただきます！ (2021年3月15日 11時) (レス) id: dd8bdcffd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月27日 20時
