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「長続きの秘訣とかあるんすか？」
「妥協と耐久。」
「夢がないですね。」
「そんなもんよ夫婦なんて。」
俺ならそんな思いさせないのにと
初対面の女性に抱くには重すぎる感情を抑えて
缶ビールを一気に飲み干した。
お酒には強いはずなのに、今日はなんだか酔いが早い気がする。
「出会いは？」
「すごい質問してくるね。」
「今後の参考にしようと思って。」
「ふふ、参考にならないよ？」
悪戯な笑みを浮かべながらも
過去の記憶を呼び起こすように頬杖をつき目を閉じて
しばらくすると伸びをして深呼吸をすると
ゆっくりと大きな瞳を開いた。
「出会いは20歳の時。
お酒が飲めるようになったからって
先輩にサークルの飲み会に連れていかれたの。
そこにいたのが旦那。」
「どっちから声かけたの？」
「うーん、声かけたっていうか…
向こうから絡んできた、
でも惚れたのはたぶん私が先。」
Aさんの表情は先ほどとは打って変わって
頬を赤らめて照れ臭そうに話す姿は、まさに恋する女の子だ。
入る隙なんて一切ない、なんて
またバカげたことを考えていた。
「…この話、本当に参考になる？」
「なりますよ。
俺もなんかサークル入ろうかな。」
「いい思い出になると思うよ。」
言われなくても旦那さんへの想いがこんなにわかるのに
どんな喧嘩かは知らないけど毎回置いていくなんて
よくわからないイライラが込上げてくる。
「もっと詳しく聞かせてよ。」
「じゃあ日が昇るまでね。
少しは寝ないと明日キツイし。」
何でこんなに気になるんだろうか、
この謎なイライラの正体も全く分からないし。
でも何となくAさんを一人にしたら
本当に消えてしまいそうなぐらい儚くて
それにもっと話したいという気持ちが芽生えてきて
なんでもいいから2人でここにいる理由が欲しかった。
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ねこ - 思わず感動して大号泣してしまいました、こんな素敵な話に出会えてよかった。ありがとうございます。 (10月26日 18時) (
レス) @page35 id: 0201ad6d5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 拝読しました。途中から“もしかしたら。。。”という思いがよぎり読み進めており、最後の方は涙が止まりませんでした。いろんなことを考えさせられました。とても素敵な作品です。 (2023年1月18日 16時) (レス) @page35 id: 362aab2dda (このIDを非表示/違反報告)
マシ(プロフ) - 大号泣しました。最高の作品でした。 (2021年7月3日 1時) (レス) id: 4e17f70d50 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 未さん» 読んでいただいてありがとうございました！そう言っていただけてすごく嬉しいです！ (2021年4月2日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
未(プロフ) - 今更ながら作品読ませていただきました（ ; ; ）生きるという言葉の意味を綺麗な言葉ながらに深く込められていた心に刺さる作品でした！これからも愛読させていただきます！ (2021年3月15日 11時) (レス) id: dd8bdcffd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月27日 20時
