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「もう終わった？」
「はい、お待たせしました。」
今日は何とも平和な一日だった。
実習も問題なく進んで
カンファレンスは学生達も慣れて来たのか
ここ最近で一番いいものになっていた。
それに何より、目黒さんも阿部先輩も休みだったことで
変に緊張することもなく伸び伸びと指導することができた。
「まだ聞いちゃだめですか？」
「だから、着いたらわかるって。」
やっぱり渡辺先生は何も教えてくれない。
一体何を企んでいるのか
さっぱり見当もつかない。
「車から降りたらおっきな落とし穴に落ちるとか」
「安いバラエティ番組じゃねえんだから
そんなバカなことするかよ。」
「ですよね…。」
いくら私が盛大なボケをぶつけても
真顔で正論をぶつけてくるから会話が続かない。
いつもは私のふざけた言葉に乗っかってキレてくるのに
これじゃあいつもと真逆じゃないか。
「ちょっと遠いから
まだ本調子じゃねえだろうし寝とけ。」
「すいません、」
運転してもらっているのに寝るのは申し訳ない
そう頭ではわかっているのだけれど
渡辺先生の言う通りまだ完全に体調が治ったわけでもなく
心地よい車の揺れに、段々と瞼が重くなっていった。
「…、A起きろ。」
「あだっ、」
遠くから私を呼ぶ声が聞こえた気がしたかと思えば
おでこに衝撃が走って飛び起きた。
目の前には渡辺先生、それもかなり至近距離
そして顔の前には親指と中指で輪を作った右手。
「デコピンいなくてもいいじゃないですか！」
「起きなかったんだから仕方ねえじゃん。」
ムカついて思い切り頭を振り上げ
額同士をぶつけ合うと、渡辺先生は変な声を出して離れた。
当たり前だけれど私も痛みを伴って、額を手で擦ると
運転席で悶える彼を置いて外へ出た。
「跡ついたらどうすんだよ！」
「肌が白いからくっきりついてますよ。」
慌てて降りて来た渡辺先生に冷たい視線を送ると
彼はブツブツと文句を言いながら前髪で額を隠した。
「行くぞ。」
「ここどこらへんなんですか？
結構住宅街ですけど…。」
「いいから、着いて来いって。」
頭に沢山ハテナマークを浮かべた私を置いて
渡辺先生はゆっくりと歩き出した。
知らない土地ではぐれるのは避けたいし
急いでその後をついて行けば
小さな診療所の前で立ち止まり、余計に疑問が増えた。
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読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (
レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました！お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです！こちらこそありがとうございました🙇♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています！私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年10月21日 19時
