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流石に明日も実習がある奴に酒を飲ませるほど
俺はお気楽じゃないしその辺の常識は持ち合わせている。
目の前で美味しそうにグラタンを頬張るAの顔色は
少し良くなったように感じて、安堵から小さく溜息をついた。
「やっぱり私、白衣似合わないですね。」
「え？」
「学生の頃から似合わないなって思ってたけど。」
グラタンを食べるスプーンを持つ手が止まって
俺をチラリと見ると、苦笑いを見せて
座席横の大きな窓から月夜を眺めている。
「あんな事言ったけど
佐久間くんが言った通り
そんな噂がある教員に教えられたくないですよね。」
「そんなことねえよ、
Aは大学で一番の先生だ。」
「お世辞でも嬉しいです。」
俺の叔母は看護師で今も病院に勤務している。
ある日突然、今度看護教員として大学に入ってくる子を
出来るだけ気にかけてあげて欲しいと連絡があり
その数日後にやって来たのがAだった。
初めて会ったAはまさかの年下で
看護教員にしてはかなり若くて、
明らかに訳ありな雰囲気が流れていた。
「神崎、だっけ
あいつってなんか病院でやらかしたの？」
“軽くそんなこと言わないで。”
ただ悪気なく興味本位で
叔母に連絡し聞いてみると、初めて怒られた。
そこで語られたAの過去は壮絶で
ただ話を聞いただけなのに胸が痛んだ。
“何でそんなこと聞くの？”
「そりゃ、まあ…」
一目惚れしたなんて言えるはずもなく
適当に濁して電話を切った。
話を聞いた以上、好意を抱いてしまった以上
俺があいつの味方になってそばで支えなきゃ、なんて
勝手にそんな強い気持ちが芽生えた。
「もっと表情、柔らかくした方がいいぞ。」
「わかってはいるんですけど」
「可愛いんだから
笑顔増やせば学生も親しみやすくなるだろ。」
「お世辞でも嬉しいです
…たしかにそうですね、頑張ります。」
そう言ってぎこちない笑みを見せていたAも
ようやく教員として立派に成長して
辛い過去に蓋をして、前を向き始めていた
笑顔も明るくなっていたところだったのに。
「ちょっと考えます、
3月までには答え出さないとですし。」
Aはただ、自分の業務を全うしているだけなのに
どうしてこうも苦しまなきゃいけないんだ。
傍で支えたい、ずっと笑顔でいて欲しいのに
どうして俺は何もできないんだ。
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読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (
レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました！お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです！こちらこそありがとうございました🙇♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています！私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年10月21日 19時
