検索窓
今日:1 hit、昨日:52 hit、合計:158,982 hit

ページ14






「何も辞めなくたっていいじゃん
 前々から思ってたけど
 お前は0か100でしか考えらんねえのか…っておいそれ!」




Aの手に持たれているのは
俺が頼んだはずのウーロンハイで
酒に強いわけではないのに、烏龍茶だと勘違いしてか
一気に飲み干し勢いよくテーブルにグラスを置いた。




「お前なぁ…」





「私だってこの性格直したいですよ
 できる事なら高校生からやり直したい。」





グラスを握り締めたまま
俯き顔を見せずにそう呟いたAの声に
自然と背筋が伸び、真っ直ぐ彼女を見つめる。

その姿は、初めて会った時の姿そのもので
何とも言えない気持ちが込み上げてきた。




「後悔ばかりです、私の人生。」




「…看護師の道を諦めたことをか?」





「それもあります
 自分の不甲斐なさが情けないし、それに」





その先を言いかけた時
Aはようやく顔を上げた。
少し考えるような素振りを見せた後
唇を噛みしめ涙を堪えるようなしぐさを見せた。




「蓮くんに、申し訳なくて。」




「…。」





「約束したのに、辞めちゃって。
 蓮くんはどんどん白衣の似合う素敵な看護師になってるのに
 私は…、顔向けできないぐらい成長できてない。」





そんなことない、そう言いかけた時
Aの頬に一粒の涙が伝った。

ストッパーが外れたように
一粒、また一粒と涙が溢れだし始めて
無責任な言葉をぐっと飲み込み
身を乗り出してAの涙を人差し指ですくった。







「いつも逃げてばかりだったつけが回って来たみたいです。」





「A…」




「ここが最後の居場所だったのに
 もう逃げ場、なくなっちゃいました。」





無理して笑うAに
やっぱり無責任な励ましの言葉しか出てこなくて
手を引っ込めて席に座り直すと
彼女は涙を必死に拭い深呼吸をした。





「すいません、せっかく誘ってもらったのに
 暗い雰囲気にしちゃって。」




「何で、やめんだよ」








仕事もそうだけど
なんで弱音を吐くことをやめるんだよ。
俺はいつだって、どんなことだって
受け入れる準備は出来てるのに。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (556 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1771人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 佐久間大介 , 目黒蓮
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました!お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです!こちらこそありがとうございました🙇‍♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています!私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました! (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年10月21日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。