第五章 疑いの目 ページ36
＿you side＿
「言っちゃったって…」
「めめと翔太がA探しに行った時
深澤さんが俺の事見ててくれたでしょ？
熱で頭回んなくて、正直呪いの事も頭に過ったし
つい…ごめん！！」
唖然としつつ、絞り出すよう声を漏らした翔太先輩は
大介先輩の謝罪に目を泳がせ必死に考えを巡らせている。
一方で私は、複雑な心境だ。
大介先輩はこうやって正直に話して謝っているのに
自分は黙ったままでいいのだろうか。
むしろ私は、熱があったわけでもなく
思考が正常に働いている状態で
自分の不安を言い訳に口を滑らせてしまったんだから
大介先輩より質が悪い。
「いいやつだけど…ここの人間に変わりないんだぞ？」
「本当にごめん。」
翔太先輩は声を荒げるわけでもなく
そっと諭すように問いかけた。
大介先輩は言い訳をするでもなく、ただ繰り返し謝っていて
私達はそれ以上何も言うことができなかった。
「あの、」
「言った時の反応はどうでしたか？」
私も、正直に言った方がいいんじゃないか。
決心して口を開いたはいいものの
タイミング悪く蓮先輩と被ってしまい
か細く吐き出した私の声はかき消されてしまった。
「特に、気になる点は…」
「些細な事でもいいから振り返ってみて。」
険しい表情を浮かべた蓮先輩からの問いかけに
大介先輩はその場に座り直し腕を組んで考え始めた。
言うたタイミングを逃した私は
ただその姿を眺めることしかできなくなった。
「…強いて言うなら
他所から来た知らない野郎に対して
滅茶苦茶優しいなってぐらい。」
「それ、逆に怪しくないですか？」
「そうかな？」
大介先輩の頭の上に
ハテナマークが沢山浮かんでいるのが見える。
その隣で話を聞いている翔太先輩に関しては
もう考えることも放棄したのか放心状態で固まっていた。
「よく考えれば深澤さんって
佐久間くんが体調を崩した日から毎日様子見に来てるし
さっき言っていた通り面倒見がよすぎるというか、」
「…俺らあいつに狙われてんの！？」
ようやく生気を取り戻したかと思えば
蓮先輩に突っかかり慌て始める翔太先輩。
確かに、蓮先輩の言っていることに納得はできる
いくら警察とはいえ、一時的に東京からやって来た
見ず知らずの大学サークルの集団をここまで気にかけてくれるのは、
優しさと言えばそれまでだけれど
よく考えればやけに親切だなと、違和感を覚えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぐたろう(プロフ) - そふらさん» 読んでいただきありがとうございます🤍そう言っていただけて嬉しいです！折り返し地点まで来ていよいよ最終章が近づいていますので、最後まで御付き合いいただければ嬉しいです🙇♀️ (2022年9月4日 19時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - なぁたさん» 前編読んでいただきありがとうございます🙇♀️暑さが吹っ飛ぶような内容になっていればと思います(肌寒くなってきましたが笑)楽しんでいただけて嬉しいです🤍最後までよろしくお願いします！ (2022年9月4日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
そふら(プロフ) - 更新ありがとうございます！続きが気になって頻繁にチェックしてしまう程面白くて最高な作品です！大変だと思いますが更新楽しみにしてます！ (2022年9月3日 2時) (レス) id: 8614b66f6c (このIDを非表示/違反報告)
なぁた(プロフ) - 作品更新嬉しいです！今回更新分の内容ずっと、うそでしょ、まって、こわい、しんどい状態でした。ドキドキさせてくれてありがとうございます。また楽しみに待ってます☺️ (2022年9月3日 2時) (レス) @page45 id: bf7a073558 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年8月11日 19時
