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「佐久間、」



「あ…Aちゃんおはよう!」



一週間ほど音沙汰がないままで不安が大きくなっていた時
ゴミ出しをするため家から出ると
車椅子に乗ったAちゃんが声をかけてきた。



「この前はごめん、」



「俺は全然…」



「あのさ、佐久間が嫌だったらいいんだけど
 …プールに連れて行ってくれないかな?」



「え?!」



突然のお願いに慌てていると
Aちゃんが吹き出して動きが止まる。
表情は何処かすっきりしていて
さらに俺の思考回路は停止してしまう。


「もう逃げたくないから、」



「Aちゃん…」



「なんかもう吹っ切れちゃった
 …どうしようもないよ、北斗くんが悪いわけじゃないし
 あの手紙の返事も書いたんだ
 もう送ってこないでくださいって、私は前に進むからって」



「そっか…頑張ったね!」



「…うん、私頑張ったの!」



Aちゃんの笑顔は輝いていて
つられて笑うと心が温かくなった。




流石にいきなり大規模なプール施設に連れて行くのもと思い
翔太に相談してみると、小さめの貸し切りプールを紹介してくれた。
夏祭りに行ったメンバー五人で計画を立てて
あっという間に当日がやって来た。



「さ、佐久間あの」



「ん?」



「その…、足なんだけど
 もしかしたらびっくりするかもしれないけど」



「俺がそんな奴に見える?」



何度も首を左右に振るAちゃんと
目を合わせるようにしゃがみ込むと両手を包み込んだ。



「俺は、どんなAちゃんだって受け入れるよ。」



「…なんかそのセリフ、クサい。」



「なんだってー!!」




髪を上げてワンピースタイプの水着を着るAちゃんは
抱きしめたくなるほどに可愛くて
俺達見守りの元、浮き輪をつけ義足を外しプールに入ると
楽しそうな笑みを浮かべていて涙が出そうになった。



ふっかは隠れて泣いていて
照と翔太は優しい笑顔を浮かべている。
こんなにも沢山の人から愛されていると彼女は知っているだろうか
それがわかってもらえるまで、俺は何度も伝えよう。



俺はいつだって、Aちゃんの全てを受け止めて
抱きしめる準備は出来ている。
後はAちゃんが、踏み出す勇気を見つけ出すだけ。







それを今は、温かく見守っていこう。

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ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» 読んでいただきありがとうございました!!書くこと自体迷っていたお話だったのですが、書いてよかったです。次も楽しんでいただけるよう頑張ります! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ゆりあさん» ありがとうございました!凄く迷いながら時間をかけて書いたお話なので、そう言っていただけて凄く嬉しいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - こころさん» 読んでいただきありがとうございました!そう言っていただけて凄く嬉しいです! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぐりーんかれーさん» ありがとうございます!楽しんでいただけて凄く嬉しいです。次回も頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 名前さん» ありがとうございました!受け取りての方によって違う感じ方を楽しんでいただければと思い書いてみました。次のお話も頑張ります! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年8月10日 19時

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