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「本当にごめんね?
 先生には言ってあるから、気を付けてね。」


母に見送られ、最寄り駅まで涼ちゃんと並んで歩く。
翌朝、緊張で全く寝られずに隈を作ってしまった。
みんなその姿を見て心配して、休むかと聞かれたけど
早いうちに慣れたいから大丈夫と答えた。



「しんどくなったら帰ってくるんだよ?」



「わかってるよ、そんなに心配しないで…。」



スーツ姿でイケメン度が増している涼ちゃん。
昨日から薄々感じていたけど
少しだけ、いやだいぶ過保護なようだ。



電車に乗ると通勤時間なだけあり混み合っていて
涼ちゃんは押しつぶされそうになる私の腕を引き
壁際に寄せ、庇ってくれた。



「あ、Aー!!」



駅に降りると、制服姿の結ちゃんが駆け寄ってきた
隣には高身長で派手髪の男の子がいて
いじめられていた思い出が蘇り、身構えてしまった。


「お兄さんおはようございます!
 ここからは私達で連れて行きます!」



「ありがとう、助かるよ。
 じゃあ仕事に行くから、車に気を付けてね。」



涼ちゃんは軽く頭を撫でると、先ほどの電車に乗った。
3人で手を振って見送ると、
結ちゃんは私の右手を優しく両手で包み込んだ。



「おはようA!
 もしかしたら道わからないんじゃないかって
 ラウちゃんが言うから待ってたんだ!」



「ラウちゃん…!?」



3人しかいないこの状況からみて、
この子がラウちゃんであることに間違いはない。



「そうだよ!」



「ごめん、私、ちゃん付けだから
 てっきり女の子かと思って…。」



顔の前で手を合わせて勢いよく謝ると
二人は顔を見合わせた後、盛大に吹き出した。
突然のことに唖然としていると、
ひとしきり笑った二人がこちらに態勢を戻した。



「ごめんごめん!
 これは私の伝え方が悪かったわ…。」


「そうだよ!
 もう、とんだ勘違いだよ!」


結ちゃんがそう言うと、
ラウちゃんは私に近づき、屈んで視線を合わせると
キラキラした笑みをこちらに向けた。


「ラウールです。
 僕とAちゃんは一番の親友だったんだよ!
 だからまた仲良くしてね。」


「一番は私だから!
 もう、早く学校行こう!」



結ちゃんは少し怒ったように頬を膨らませ
私達を遠ざけ、抱き着いてきた。
困惑しつつもチラリとホームの時計を見ると
8:10と表示されていた。



「時間…大丈夫…?」


二人は時計を見ると青い顔になり
私の腕を片方ずつ掴むと、ダッシュで学校へ向かった。

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まいちゅん(プロフ) - ぱぐたろうさんの世界観が好きです。 (2021年1月25日 0時) (レス) id: 3613c412bc (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ユウさん» ありがとうございます!うれしいです、励みになります。今日からまた更新しますので是非見てください(^▽^) (2021年1月21日 19時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - りささん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます!そう言っていただけるとすごくうれしいです!りささんもお体ご自愛下さい、更新頑張ります(^^) (2021年1月21日 19時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - Roseさん» ありがとうございます、励みになります!Roseさんもお体お気をつけてください!(^^)! (2021年1月21日 18時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - しおさん» ありがとうございます!本日更新しますので是非見てください(^^)無事に楽しめました! (2021年1月21日 18時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年1月13日 20時

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