・ ページ24
・
「何でもやってあげるのが優しさじゃないだろ。」
「へ？」
「そりゃ本気で困ってたら俺だった助けるけど
あいつが自分でやろうと頑張ってることを
はなからできないって決めつけて手伝うのは
ただの偽善だし失礼じゃん。」
翔太はこっちを見ることなく話し続ける。
予想もしていなかった思いに驚いて固まっていると
気まずそうに頭を掻いてようやくこっちに視線を向けてくれた。
「ゆっくり話せば簡単な文脈ぐらい伝わるし
耳に障がいがあったって一人でできる仕事はある。
会社の奴らがしていることは
あいつのできることを全部奪ってるのと一緒だろ。」
「じゃあ全部Aちゃんを思って…ってこと？」
「いや、別に…俺は！
頑張ってる姿も見ようとせずに
最初からできないだろうって諦めてる周りが嫌いなだけだ！」
顔を真っ赤にして仕事の続きを始めた翔太。
あの態度は翔太なりの優しさだったんだなって思うと
不器用すぎだろなんて思うけど
しっかりとした意思を持って行動する姿は
とても頼もしく見えた。
「やっぱり第一印象なんて当てになんないね！」
「…。」
「Aちゃんの言う通りいいやつだ。」
「うるせえ、仕事しろ。」
少し乱暴な照れ隠しも
そんな性格を知ってしまえば可愛く見えてくる。
にやける口元を手で押さえて資料に目を向けると
そのままマシンガンの様に話し続けた。
「Aちゃんの頑張る姿ってさ、」
「うるさい。」
「ハムスターが回し車走ってるときに似てるよね。」
「…おう。」
まさかの肯定にテンションが上がって
さらに喋ってしまう。
翔太は阿部ちゃんみたいに辛辣なことを言ってくるけど
ちゃんと全部に反応してくれた。
「いやぁ、翔太って意外と馬鹿なんだね！」
「はぁ！？馬鹿じゃねえし！！
思考ダダ漏れ男に言われたくねぇよ！」
「何だよみんなしてダダ漏れって！！」
こんな言い合いまでできるぐらいに仲良くなった時
会議室の扉が開いて二人が帰ってきた。
Aちゃんの顔色はよくなっていたけど
まだ少し体調が悪そうだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 836人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年3月7日 18時
