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「Aちゃん大丈夫？」
「…。」
昼食を食べ終わって
また4人会議室で企画会議をしていると
Aちゃんが時折耳を抑えて苦しそうにしていた。
見かねた早見さんがメモに書いて聞いてみると
首を左右に振って泣きそうな顔をしている。
「耳痛いのかな？」
「医務室行った方がいいんじゃねえの？」
今回ばかりは渡辺さんも心配そうな顔をして
顔を覗き込もうと机に手をつき身を乗り出している。
俺もAちゃんの隣にしゃがみこんで
ゆっくり背中を擦った。
「俺、連れて行きます！
あ、でもこういう場合女性の方がいいのかな…。」
「そうだね、私連れて行くから
進められる所までやっといて！」
早見さんがAちゃんの体を支えながら
ゆっくり会議室を出ていくと
一気に室内が静寂に包まれた。
「…進めるか。」
「…うっす。」
沈黙を破ったのは渡辺さんで
とにかくこれからの役割分担だけ進めていくことにした。
やることを項目化したリストに
手分けして担当する人の名前を書き込んでいった。
「あ、それ。」
「へ…！？」
「その人の字、読みにくそうにしてたから
俺の名前書いといて。」
直接の会話がなくてもできそうな仕事に
Aちゃんの名前を振り分けていると
それを見た渡辺さんに止められた。
「そうなんですね！
なるほど、そこまで気を遣えてなかった…。」
いつも阿部ちゃんにする感じで
大袈裟にリアクションしてしまって慌てていると
渡辺さんの表情は一気に明るくなって笑い始めた。
「前から思ってたけど
お前結構面白いよな。」
「…渡辺さんに言われたら何か嬉しいっす。」
「…翔太でいいよ。」
初めてちゃんと話したけど
態度が悪いどころか口調は凄く優しくて
Aちゃんの言っていた通り
案外いい人なのかもしれない。
「俺もさっくんとかってよんでね！」
「やだよ。」
さっきまで気まずいと思っていた雰囲気は
一気に明るいものになって
お互い顔を見合わせ笑っていると
翔太は照れ臭そうに頬を掻いた。
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年3月7日 18時
